演 目
FAKE
観劇日時/05.6.25
劇団/劇団SKグループ
公演回数/第19回公演
作・演出/すがの公
音響/糸川亜貴
照明/相馬寛之
劇場/BLOCH


上品で洒落た風俗劇

 ある大都会の公園を住処とする男女、サラリーマンのリーさん(=すがの公)、子連れと称する30女(=小山めぐみ)、彼女の赤子はキャンピングカーに寝かせているらしい。そして無口で感情を表さないインチキ新聞配達のチョウさん(=江田由紀浩)は、「朝刊」と叫んで盗んだ古新聞を持ってくるんでチョウさんと呼ばれているらしい。
そこへ自殺志願で遺書を懐にした若い女(=福村澄江)が、このホームレスの仲間に入りたいといって現れる。
この四人がさまざまなキャラクターを変わり変わりに演じるコント風の劇中劇を次々と披露するが、これは本編との直接的な関係はなく、初めは煩わしさだけが気になる。
話の本筋は次第にこの新入の若い女に絞られていく。自殺志願の若い女は、ホームレスたちの、一見突っ放したような優しさに癒されていく。そして再生へと向かう。甘いといえば甘い。
それを補強するのが一見、本編とは関係のないように挿入される幾つかの短編劇中劇だ。それがだんだん本編の物語に印象付けられていくような構成。
今回はそれらを含めて膨大なギャクが連発されたが、これが実に洒落ていて、ホノボノとした微笑ましさを誘って好感がもてたのであった。
漫画風に描かれた大都会の風景が、背景として後ろ壁一杯に貼られていて、それが最初は芝居のリアリズムに対抗するような違和感が強く、拒絶反応を起こしたのだが、芝居が進むにつれて、だんだん話の雰囲気にマッチしてくるような不思議な感覚……