演 目 公園キャンプ 観劇日時/05.5.22 劇団名/劇団しろちゃん 公演回数/第30回記念公演 作・演出/中村亮介 制作/道見ますみ 照明/吉田裕佑 音響/海老原拓也 小道具/甘日岩昭裕・若林大悟 受付/波田洋平 サポーター/上田若菜 劇場/ラグリグラ劇場 |
善意の行き違いのもたらす虚無感 友人・祐介(=吉本拓郎)に連帯を求める賢一(=永井宏治)、賢一は成り行きから、公園のホームレスたち・洋子(=富塚実穂)大次郎(=太田俊平)太郎(=新雄斗)に積極的に関わっていく。 ところが、それには懐疑的な祐介。一方、賢一は難民救援の募金をする鈴木さん(=川上麻里江)には批判的だ。賢一の矛盾。懐疑的ながらも、賢一に引きずられていく祐介の中途半端さ…… 善意の押し付けに戸惑いながらも拒否できないホームレスの三人。しかしついに過剰の善意はついに破綻する。耐え切れない洋子は公園のダンボールハウスを去り、大次郎は板ばさみに悩む。トツトツとダンボールの家を畳む太郎。 すべて無くなった空白の舞台を見て、崩れ折れる賢一の哀愁は胸を打つ。善意の行き違いのもたらす虚しさが、黒一色の狭い空間に閉じ込められて、切ない叙情が静かに語りかけてくる。 それほど大きな志をもつ作品ではないけれども、このラストシーンが印象に残る小品として佳作だと思う。 ただ、全体にガ鳴り通しの台詞は聞き取り難く、テンションの高い張りっぱなしの展開は、下手をすると拒否反応を起こしそうだが、その中で茫洋とした大次郎と少しピントの外れた太郎の存在が、脱線しそうな雰囲気を中和する。 ラグリグラ劇場の狭い舞台間口にもかかわらず、奥行きの深さを巧く使って、野外らしい舞台装置や照明の助けを借りずに、公園という屋外の雰囲気をよく表現していたのが印象的であった。 |