演 目
此処にあるのは夢のような素晴らしきモノ!
観劇日時/05.5.22
劇団名/演劇空間JAM House
公演回数/第2回公演
作/岩谷知子
演出/岩本幸治
照明/相馬寛之
音響オペ/岩本幸治
舞台監督/岩本幸治
劇場/シアターZOO

一途な真摯さ

 17歳の少女作家・波子(中野祐美)は、受賞作のあとが書けず、5年後には親友の編集者(笠原瑞貴)に尻を叩かれながらコンビニでアルバイトをやっていた。
自分の生き方に忠実な、逆にいえば自分勝手な生活をしている彼女は、徐々に自堕落な日々を過ごすことになりつつあったある日、バイト先のコンビニに初老の男の包丁強盗(野村孝志)が押し入った。
自分の才能に諦観を持ちつつあった波子は、次作品のための取材の意味で、その老強盗に動機を問い質す。
気弱な強盗は、幼馴染の不治の病を救うための手術代のためという陳腐な人間的動機を告白するが、同情するコンビニ店長(麻野勝史)と店員・かつら(仲道まい)。
そこへ別のピストル強盗(佐藤淑美)が押し入る。彼女も愛する家族が貧困のために苦境にあるのを救うために強盗を働き、逃げる途中であったのだ。この6人のドタバタ劇をかなり真面目にテンポ良く展開する。
ピストル強盗に押し入られたときの波子の台詞が、余りにもステロタイプで常識的道徳的パターンでしかつめらしく説教臭い文言だったことが惜しまれる。もっとこの少女の虚無感を出した方が、インパクトが強くなっただろう。
事件の推移のありきたりさも、このピストル強盗の家族愛というハッピィエンドも甘すぎるが、作り手の一途な真摯さは好感が持てる。
この事件を書いた波子の小説はミリオンセラーとなって売れっ子となるが、何か納得できなかったらしい終幕。それが本当の人生なのであろうか? という疑問か?
照明が説明過剰でくどすぎる。もっと観客の想像力を大事にして欲しい。