演 目
真夜中の少年チェリー
観劇日時/05.5.7
劇団名/g-viruss
作・演出/武田晋ほか多数省略
劇場/テレコムホール


情緒過剰なB級映画

 この集団の役者たちの達者な表現力に魅せられて、これで三度目の観劇である。ハイテンションでありながら的確な演技力は魅力的である。つい後を引いてリピーターとなる。
ただし最初に観たときから言っているように、話は単純だ。前二回は、困難な人生の中での苦労が報われて微かなハッピーエンドを予感させる物語を、スーパーマンや人情話に助けられて収斂するというものだ。非合理の闇世界が暗躍する非日常的な設定もリアリティをもって描かれる。
で、僕はこれをB級映画的な世界と思うわけだ。そしてここになかなか捨てがたい魅力があるのだ。
今回もほとんどこの世界の踏襲であって、新味といえば主人公を15歳の少年・テル(高田豊)と13歳の少女・ミヨ(渡辺香奈子)のカップルにしたことか? しかしこの設定は前の作品にもその兆候はあって、必ずしもまったく新しい試みでもあるまい。魑魅魍魎の世界にイノセンスな存在を配するというのは今回に始まったことでもないのだ。今回はそれが主となったということか……
感心するのはこの少年少女たちが、それらしく生きているということである。成人の役者が演じて全く違和感を感じないのがこの集団の力であろう。そこに惹かれて通っている部分が大きいと思う。
梗概はそれほど重要ではない。不幸な少年少女たちが周りの人情や力に助けられながらもハッピーエンドにならなかったところが、今回はちょっと趣が違ったようなところがあったようだ。
ともかくこの芝居は波乱万丈の非現実的物語と、その演出も含めた表現力の魅力を、感情移入しながら楽しむのが正解であろう。
登場人物は4つのグループに分かれて総勢15名なので割愛する。