演 目
World 4
観劇日時/05.4.29
劇団名/北海学園大学・演劇研究会
公演回数/春の特別公演
脚本/蝦名紘季
演出/梅津賢一
音響/五十嵐玲美
照明阿部芳美
劇場/BLOCH


若さの爽快さ

 自分だけを信じること、現実だけを信じること、平凡だが平和な日常を暮らすアキラは、父の不在の家庭で、母が原因不明の出奔をしてから、これも不在がちの姉との二人暮しの中で、ますます自分だけ、現実だけを信じるようになり孤立していく。
歴史を改竄しようとする時空犯罪者の集団、それを守る時空管理局のメンバーたち、協力する歴史上の人物たち、もちろん姿を消した母やOLらしい姉たちの暗躍など、物語は過去・未来を入り乱れて疾走するが、時代考証はめちゃめちゃだし、もともとそんなことは考えずに単に人物のキャラクターや、その時代に活躍した道具を借りているだけなのだから、それには目くじら立てることもないが、様々な荒唐無稽のマンガチックな大混乱の末、ドンデンが再ドンデンして大団円に納まる。
人間不信の中から徐々に関係を取り戻し何度も裏切られながらも次第に変化していく、その過程……
舞台装置がまったく何もない真っ黒な素舞台に、目まぐるしくシーンが変わって次の人物が登場すると、そこはすぐにその場になる。
説明し難い物語の展開を、すべて観客の想像力に任せて、映画のようなシーン変わりを猛スピードでエネルギッシュに突っ走る一時間半、ややこしい話の筋をたどりながら、結局、何がどうなったのかよく分からないという不消化と未熟を超えて、若さを前面に押し出したのは爽快な好感がもてたのであった。
この集団は毎年、新入者が多く、したがって書き手も多く、次々に新しい作品が生まれるが、それが全部、異なった作風であるのが面白いが、いずれも一定の水準にあるのは、やはり伝統のもつ強みであろうか? ここの出身者の多くが北海道の演劇界で活躍しているのをみると目が離せないのだ。