演 目
DrUのマル秘大実験
観劇日時/05.4.23
劇団名/劇団つくし
公演回数/第9回公演
原作/三ツ井悠花
演出/島田裕之
劇場/深川パトリアホール


ラストで曙光がみえた鐘下戯曲

 小学5年から高校生の子どもたちが創った、1時間半の舞台。テーマは家庭。様々な環境で家族や両親から孤立したと思い込んだ男女四人の中学生が、インターネットのチャットで意気投合し、資産家の娘の今は使われていない山小屋へ集団家出をする。
そこで共同生活をするうちに、TVが誘拐事件として報じる。そこに映された子どもたちを案じる両親や家族の心情を知り、無事帰宅するまでの顛末を描く。
細かな描写にややリアィティの欠ける部分があるし、ご都合主義の運びではあるけれども、子どもたちのある一つの心象風景を表わして好感がもてた。
家族という概念がなくなった100年後の管理された人間世界での社会学者が、100年前のつまり現在の家族というものの実態調査をするという大枠が付けられているのだが、これは、そういう未来に危機意識をもった作者たちの思いの表れであろう。しかし残念ながらその構成はあまり巧くいかず、分かり難くなっていたのは心残りだ。
その上、思い入れの強い自己満足の演技で、すっかり間延びのした芝居になってしまった。たぶん稽古時間の不足だと思うが、その甘さが気になった。