演 目
ハイ・ライフ
観劇日時/05.4.10
劇団名/流山児☆事務所/
公演回数/コンカリシュート・ザ・ワークス
作=リー・マクドゥーガル/訳=吉原豊司
演出/流山児祥
音楽/トムサン・ハイウエイ
照明/沖野隆一
音響/藤田赤目
美術/塩野谷正幸
振付/北村真実
映像/島田暁
演出助手/小林七緒
照明操作/小木曽千倉
音響操作/畝部七歩
劇場/ことにパトス

含意の多いエンターテインメント

 堕ちこぼれの男たちが、一旗挙げようとして仲間割れを起こし、見事に失敗する典型的なストーリイ。しかしこの舞台は、演出の流山児が当日パンフで「『ゴドーを待ちながら』の中年ジャンキー版」といっている通り、たんなるギャング物語に止まらない大きな含意をもっている。
例によって物語を……
クレーバーで決断力のあるリーダーのデイック(千葉哲也)、凶暴だがいざというときに頼りになるバグ(塩野谷正幸)、不治の病を抱えて小心だが天才的なATM破りのドニー(若杉宏二)、そして新入りの女たらしで度胸のいい二枚目のビリー(小川輝晃)。
この4人はいずれも強度の麻薬常習者であって、薬のためなら人も殺しかねない連中であり、事実バグは事故にみせかけて何人も殺人を重ねている。
4人はそれぞれの思惑を秘めて、一世一代の銀行強盗を企む。打ち合わせの段階からそれぞれの性格で、すでに破綻が予感されるが、リーダーのデイックの必死で巧みなリードによってスリリングな展開を孕みつつ、成功一歩手前まで進む。
その寸前で凶暴なバグと気取り屋のビリー、病気のために身体が持たなくなったドニーの三つ巴による仲間割れで目論見はもろくも崩壊する。ついにゴドーは現れなかった。
ここで芝居は終わったと思わせながら、もう一度明りが点くとそこには生き残ったデイックとバグとが、相変わらず喧嘩しながら明るく楽しく次の強奪計画を話し合っているのだった。すべてが挫折して絶望に立ったと見せながら、実はやっぱりもう一度ゴドーを待つという幕切れは、永遠に続くのだろうか?