珈琲法要
観劇日時/18.1.27 18:00~18:50 劇団名/ホエイ 上演形態/札幌演劇シーズン2018・冬 レパートリィ作品 作・演出/山田百次  照明/黒太剛亮  衣装製作/正金彩 プロデュース/河村竜也 劇場名/シアターZOO 出演/諸手足軽・斉藤文吉=河村竜也 郷夫・藤崎村の忠助=山田百次 弁慶・アイヌの女=菊池佳南

虐げられた下層階級の悲劇

 江戸時代の後期、ロシア帝国は日本の開国を求めて当時の北海道に繰り返し攻めてきた。幕府は津軽藩に500人の派兵を命じ斜里地方の警備にあたった。だが予想以上の寒さと原因不明の病のために津軽藩士は次々と亡くなって行く。幕府は南蛮渡来の「珈琲」を万病に効果があるといって配給する。だが……
 という物語だが、初見では単なる客観的事実の説明だけだと思ったのに、演劇祭の大賞を受賞したので、僕はどんな見落としがあったのか確認の意味での再見だった。
 そして今日の観劇ではとてもリアリテイを強く感じたので、終演後に作・演出・出演の山田さんに聞いたところが、台本に変化はないと言う。一部分でアイヌの大和民族に対する感情の詳細を付け足した部分はあるという。
 さて僕の感受性の問題か、表現の仕方の問題か? 今日の舞台はそんな忖度をブッ飛ばして迫りくるレアリティの強く訴えかける舞台であり、演出・演技だった。
 一つだけ気になったのは、客席に現実の話題を振りかけてくる部分だった。折角の迫力が一瞬、現実にはぐらかされて醒めてしまう。なぜあのような演出をしたのだろうか?