おにぎり
観劇日時/18.1.12 15:00~16:00 上演団体/北海道余市紅志高等学校演劇部 公演形態/2017年度第67回全道高校演劇 最優秀賞 受賞作品 札幌演劇シーズン特別プログラム 脚本・演出/千葉和代(顧問) 舞台監督/中禰ひより(3年)  舞監補佐/五十嵐勁(1年) 音響/山田莉歌(2年)  照明/立川まゆ(顧問) 照明補佐/守屋百葉(2年) 劇場名/かでる2・7ホール

オニギリありがとう!

 怪我をした3年生の野球部員2人(吉田侑樹=3年・齊藤勇人=1年)が、マネジャー室で補食の準備を手伝うことを命じられ、ラストシーズンの再起を期す。
 その2人は、これも3年の女子マネージャー(浜田菜摘=3年)と一緒に部員たちが食べるオニギリを50個作るという話。2人は一生懸命にオニギリを作るのだが、その慣れない作業のやり取りがリアルで面白い。
 特に美味しいご飯を炊く場面を、2人がそのお米に変身して一生懸命に努力している所に不味い外米(=曽我部優=1年)が紛れ込んで大騒ぎというシーンは、ほとんどコントのようでちょっと邪魔かなとも思ったが、後で振り返ると中々器用に演じられていたなと印象に残っている。
 マネジャーが炊飯器の内鍋を「オクナベ(奥鍋)」と言った時に一瞬台詞をとちったなって思ったけど、それを受けた部員が茶化したので、これもギャグかなって思っていたらアフタートークでやっぱりトチリだと白状された。
 そのことが象徴するように何気ないような短い会話の受け渡しも長い間(ま)も、きちっと感情が籠っているので全編に隙がなく、全編の1/3くらいは、この3人で52個(13×4)のオニギリ作る作業なのだが、これが全くリアルで充実していた。
 マネジャーと1人の部員が出来上がったオニギリを部員たちの補食に運び出した後で、残った1人が後片づけをしながら、自分に与えられた2つのオニギリを丁寧に美味しく食べた後、包んであったサランラップを床に敷いて綺麗に折りたたんで「ごちそうさま、ありがとう」と拝んでバッグの中へ仕舞い込んで静かにマネジャー室を去り無人の室で幕……
 このタイトルは「おにぎり」ではなく「オニギリありがとう」だと思った。全く隙のない充実した1時間であった。
 配役表に学年が書いてあったので、これは役の上の学年だと思って観ていると先輩・後輩の礼儀が不自然だなと思ったら、後でこれは実際の学年で役では同級生だったことが分かった。フライヤーもポスターもパンフレットも全て作品の一部分であるというのが僕の主張だ。観劇中の誤解が尾を引く。