Going 彼女 ―手と羽根―
観劇日時/17.12.2 14:00~15:40 劇団名/3ペェ団札幌 公演回数/第11回公演 作・演出・照明/長流3平  音響/中井孝太郎  衣装/大坂友里絵      音楽/ラバ  舞台/忠海勇  小道具協力/濱道俊介      宣伝美術/温水沙知  制作/3ペェ団札幌・ぼにょ・佐藤佑哉 劇場名/レッドベリー・スタジオ 出演者/忠海忠・しちゅーやまもと・原田充子・遠山達也・井口浩幸     柳瀬泰二・足達泰雅・高井ひろし・まっちゃ・元木みづほ

狭い空間に繰り広げられた異空間

 異世界の集落〝クラーゲン〟では鉱山から〝ミドリウム〟という鉱石が採掘されていたのだが、ある時、科学者が〝ミドリウム〟から莫大なエネルギーを得る事に成功する。その技術を悪用しようと世界中から人間たちが集って来る。
          ☆
 以上が、宣伝フライヤーに書かれている物語の紹介文を要約したものである。
 それについて作者の長流3平は「RPGゲーム的(筆者・松井はこのRPGを知らなかったのでネットで調べました=ロール・プレイング・ゲームとは、参加者が各自に割り当てられたキャラクター〝プレイヤーキャラクター〟を操作し、一般にはお互いに協力しあい、架空の状況下にて与えられる試練〝冒険、難題、探索、戦闘など〟を乗り越えて目的の達成を目指すゲームである=)、熱血少年マンガ的、分かる人には分かる的、サブカルチャーに弱い世代なのであえてその波に乗ろうと思った」と述べている。
 前述の梗概だけを読めば、経済優先が究極の矛盾を起こしつつある現代世界を象徴している具体的な物語を期待して客席に座った。
 だが10人の出演者が入れ替わり立ち代り次々とキャラクターを変えてというか、良く見れば本来の人物が別のキャラクターに変身させられているのだろうか、混乱が激しく物語の展開が呑み込めない。
 さらに終盤に至って一人の少女が鳥になりたい願望を叶えてやろうとする善意と、その善意のやり過ぎの物語が突然入り込んで本編との関連が分からず混乱する。
 せっかく狙いは面白いと思ったのに結局、意味不明の焦慮だけが残った残念な舞台だった。
 物語の背景はとても大きいのに小さな狭い舞台に凝った建物を造ったのだが、それが逆に玩具のような矮小感で逆効果となり、様々な衣装や被り物で扮装した人たちが狭い舞台で暴れ狂うのも、世界を狭く閉じ込めた印象で話の展開が広がらないもどかしさを強めたのだが、照明と音響の効果がわずかにそれを補っていたように思う。