マクベス
観劇日時/17.11.23 14:00~15:20 劇団名/劇団 竹竹(韓国) 原作/ウイリアム・シェイクスピァ  脚色・演出/キム・ナギョン 照明/チュ・ソングン  舞台/チェ・ヨンファン  通訳/木村典子 主催/日韓劇場祭交流2017実行委員会  共催/札幌劇場連絡会 劇場名/札幌 琴似 PATOS 出演者/ソン・ホンイル    イ・ジャギョン   イ・チョルン       チャン・ミョンガブ  イ・チャンス    イ・ジェイン     パク・チェイク    キム・ミンギョン

机と椅子で表した激しい権力闘争

 韓国の舞台作品は、とにかくエネルギッシュだという先入観がある。今までに観てきた結果がそういう既成概念となっているみたいなのだ。この作品もそういう期待に背かなかった。とにかく「凄い迫力」の一言に尽きる。
 物語よりも、まず8人の登場人物たちが、小学校の教室にあるような木製の机と椅子をそれぞれ10台ずつ使って縦横無尽に組み立てたり配置し直したり激しく使いこなす。それを観ていて僕は「椅子」はその人の社会的な『立ち位置』であり、「机」はその人たちを『取り囲む社会構造』ではないかと思って観ていた。
 『マクベス』は一言でいうと、権力争いの展開だから、机と椅子を奪い合ったり構築し直したりするのが象徴的な表現だと思うのだ。そういう意味では如何にも韓国的な発想・表現だとも思われる。
 その机も椅子も薄黒く焼いたような造りであり、登場人物の8人はすべて濃い灰色の上着とズボンで統一されている。時にガウンを羽織るくらいで皇帝も奴隷も同じ衣装なのは、人間は基本的には平等だという象徴だろうとも思われる。
 ちょっと気になったのは翻訳文字盤だ。文章が日本語離れしていていかにも翻訳調でピント来にくい。長い文章を読み切らない中に消えてしまう。行の中間部分が滲んで読めなくなる。舞台上部の位置取りが悪い。
 などなどの欠点があるが、そもそもは象徴的な語句だけで十分だと思う。言葉の詳細な内容は不要だと思われるからだ。