ホテル
観劇日時/11.11.18 14:00~15:40 劇団名/木製ボイジャー14号 主催/劇団 劇団木製ボイジャー14号  公益財団法人北海道演劇財団    NPO法人札幌座くらぶ 作・演出・舞台美術/前田透  演出助手/鎌塚慎平  舞台監督/島田章広 照明/山本雄飛  音響/倉内衿香  舞台スタッフ/相澤奎  衣装/大川有沙実 フライヤー・パンフレットイラスト/山口鯨  フライヤーデザイン/松崎修 制作/鎌塚慎平・川幡香奈・寺田彩乃  受付/竹内里奈 劇場名/シアターZOO 出演/朱希・安藤友樹・井上嵩之・西村颯馬・パッション・小川沙織・小田修輔・    高橋永人・飛山薫・八田夏海・松田優哉・メイケ祥子・安田せひろ

ホテルの盛衰とそこにまつわる人たちの生き様をバロック表現で

 あるホテルの何十年かの盛衰記と、そこにまつわる人々の関係を描いた物語だろうと思う、というのも実際にはその物語が具体的に語られていないからだ。
 何組かの人物たちが、それぞれの想いによってこのホテルとの関わりを演じるのだが、その表現法がリアルではなく歌やダンス風のオーバーアクションによって抽象的・象徴的に展開される。これを例えば、演劇表現をこういう形にしたと言われる寺山修司のバロックとも似ていると思われるのだが、最近の若い人たちの集団に多いのだが僕にはなかなか馴染めない。何か「付け焼刃」のような気もする。
 特に気になったのは革命を目指す若い人たち、特にグリーンの学生服を着用し、水兵帽のような学生帽を被った若者が盛んに「革命」を叫び、セーラー服の女学生と愛を交わすが、彼の「革命」は何のためなのか具体的に何がしたいのか、単に「革命」を唱えるだけなのか、つまりこの舞台全体が革命の基本的使命を抽象的に叫んでいるだけのように見える。
 だが逆に考えれば、そこをバロック的に風刺しているのかも知れない。反発しながら観ていて、でも全く投げ捨てずに何だろうと熱心に飽くことなく舞台に集中していたのだ。それだけの魅力があったのは認めざるを得ない。
 ホテルの盛衰、そこに集まる人々の多様な生き方、そして燃え尽きるホテル、生き尽きた人々……このような表現形式の舞台としては一段レベルアップした舞台のようにも思えた。