熱海殺人事件 ―水野朋子物語―
観劇日時/17.11.4 11:00~13:30(途中10分間の休憩) 観劇日時/17.11.4 18:00~19:30 劇団名/北翔舞台芸術連続公演 4年目公演 作/つかこうへい  演出/森一生 照明/藤原達也  音響/久松祐真  衣装/横江梨紗 制作/鎌田脩平・竹中美佳  宣伝美術/金子舞香・荒谷知優 劇場名/北翔大学北方学術情報センター ポルトホール 出演/木村伝兵衛=池田拓斗 水野朋子=金子舞香    熊田留吉=高橋郁也  大山金太郎=小栗太良

利己主義の組織を嘲笑・罵倒する現代的な物語
 北翔大・舞台芸術学部学生の公演は、自分たちの勉強のためだと思われるが、ある一定の評価の定まった既成戯曲を丁寧に舞台化するので、我々観客にも、とっても良い勉強になる。学生たちにとっては当然だが僕たちも見逃せない。
 この作品は、加藤健一事務所が初演したものしか観ていないのだが、今日の舞台と余りにも違っていたので驚いた。もちろん4人の登場人物は同じなのだが、加藤事務所の舞台は、自分たち警察側が自分たちの手柄と実績向上との為に容疑者・犯人をでっちあげるという展開に対して、今日の話はこの4人が常に役柄が入れ替わったり大山容疑者がリードしたり、それが軽妙に展開するのでついつい乗せられて、しかも歌唱やダンスのシーンが多出するので、いかにも現代的だ。
 初めて観た時のこの作品も今日の舞台も自分たちの利益しか考えない利己主義の官僚体制の中の人たちを嘲笑し倒そうというのだろうが、その辺は如何にも現代的な物語で時代の先端を行っているようだと思われる。
 つかこうへいは口だてで舞台を創ると言われているから、これは一種のバリエーションかなと思い、終演後に演出の森一生さんにお聞きしたら、やはり何種類かの本があって、今日の上演舞台は水野朋子バージョンだと言う事であった。