沙羅双樹の花の色  観劇日時/19.9.24 17:00~19:00  劇団名/fireworks  
 作・演出/米沢春花  音楽/山崎耕佑  
 演出助手/竹原圭一・木山正太  照明/高橋正和  照明操作/平賀友美    音響/大江芳樹  音響操作/山口愛由美
 音響操作/中野渡慎之介  舞台美術/安田せひろ  ダンス指導・振付/さち  小道具/(鐙)大川有沙実 (獣)丹野早紀
 ヘアメイク/宮永麻衣  宣伝美術/金田一樹生
 劇場名/ことにコンカリーニョ
 出演/巴御前=米沢春花     木曽義仲=上松遼平
    山吹=小川しおり     木曽義孝=垣本寛之
    御獄山満獄=和泉諒    樋口兼光=有田哲     今井兼平=むらかみ智大  中原兼保=望月りんたろう     千鶴御前=さち      中原兼遠=塩俵昇太
    鬼子=チャゲンタ     龍=高山和也
    源義経=橋田恵利香    静御前=国門綾花     武蔵坊弁慶=伊達昌俊   那須与一=森高麻由
    船頭=後藤カツキ     千歳御前=宮永麻衣
    後白河法皇=MC脂肪漢  司=木村歩未     佐奈=さーな       綾乃=濱名美玖
    矢沢=中村雷太     楽隊=山崎耕佑・大竹翔平・吉岡健・後藤尚音・
       神野ひかる・橋本琢実・日下拓人

演劇のバロック表現としてのミユージカルの成功作品

それほど期待していなかった源平相克の物語だ。現代の女子高生が先祖の遺品に感化されて男子相伝の自家の歴史を解明しょうと、一人娘である自分が男性化して800年昔の過去に蘇り、巴御前の実在を確認しようとする大枠はとても興味深い。 性の区別を飛び越えて800年前はどうだったのかという架空の、でも歴史上の事実かも知れない存在に飛び移るSFフアンタジー…… 平安後期から鎌倉初期の日本史の史実の中から女性人物を摘出して、それを現代の女高生と結ぶ付けた構成は、意外性と現実性が微妙にマッチしてエンターテインメントとしても成功した。 それらの経緯を大人数の侍たちの殺陣としてミユージカルに表現しエンタメ性をグレードアップさせている。ミユージカルは演劇の「バロック表現」として生まれたという説がある。「バロック表現」って何だろうか? エンタメ表現の一種だろうか? 守安敏久・著『寺山修司―バロックの大世界劇場』は、「誇張・過剰・不規則の反古典的な芸術様式を意味する「バロック精神」を寺山作品の通奏低音として見出そうとする」と評している。=葉名尻竜一 今日のこの舞台はシビアな歴史的現実と現代のフアンタージとの結び付きをバロック表現という手法で見事に「劇」と「芝居」とを融合させた魅力的な舞台であった。