にごりえ 観劇日時/17.9.24 14:00~16:00 途中休憩10分 劇団名/横浜ボートシアター 公演形態/語り公演in北海道
「一人芝居の第3パターン」が、ほんのりと見えた
原作/樋口一葉 演出/遠藤啄郎
語り/吉岡紗矢 音楽/松本利洋
劇場名/札幌 レッドベリースタジオ
前半60分、10分休憩して後半50分の独演。前半の語りは単調で複数の登場人物が皆同じ聞こえ、この人物たちを知っている観客の僕でさえ、いま喋っているのは誰なのか錯覚するくらい平板だった。確かに発声は力強いし何かを感じさせるのだが、聴いているうちに眠くなり何度かウトッとしてしまった。
終演後に遠藤氏が「この公演は朗読ではなく語りの真髄だ」話していたが、その説得力はなるほどと思ったが、その真髄は、この語りでは全く表現されていない。
ただひたすら上手な発声法で全人物の声を喋るだけで、その人物たちの発声はみな同じパターンだから、今誰が言ったのか混乱する。物語と照合して納得するしかない。
休憩後の後半は少し違った。お力(リキ)に入れあげて落ちぶれた源七とその妻・息子の4人の心情を演じ分けた、僕の規定する「一人芝居の第3パターン」が、ここでやっと感じられドラマが創りだされそうな雰囲気が出来た。これを最初から期待していたのだ!
わずかに30人ほどの観客の中に札幌の演劇人達を何人も見かけたのも、このボートシアターに大きな期待を持ったからだろう。遠藤啄郎氏のメソッドの理想は素晴らしいが、今日の舞台はラストでやっとその片鱗が見えただけだったようだ。
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