芝居ノ時間デス  観劇日時/17.8.26 19:00~20:30  劇団名/滝川市 演劇集団 森組  公演回数/第16回公演
 作/『インターフエイス』=仲谷薫  その他の5作=山岡幸紘  演出/森昌之   振付/山田晃広  
 照明/岩ヲ脩一  音響/島野浩一  宣伝美術/八戸めぐみ
 制作/岩井英司・関尾昂人・長尾葵・三上真弓
 劇場名/滝川市 ヘイワビル2F

日常の現実に起こり得べくして起こった混乱

現実味のない、といって不条理でもない、現実にある日常の展開が現実に起こりえないような展開をする。普通ならそんな事はあり得ないと思うのに何故か起こったことを肯定してしまう。その滑稽さ、おふざけさに、つい魅入ってしまう。 そして最後の演目で、ブラックホールに落ちた人たちを生き返らせるためにホワイトホールを造ったら、前に上演した4編の登場人物たちが続々と生き返ったように登場する。ここに何の意味があるのだろうか?

インターフエイス

出演/おばあさん=渋谷沙里  スタッフ=安井美沙

施設を利用しようとするおばあさんに、施設の登録に必要な鍵盤の操作を教えようとする職員との掛け合い。スタッフが何度言っても同じ間違いをするおばあさん。面白いけどただそれだけの話。人間の弱さを強調しているとも言えるか?

二人の幽霊

出演/男1=黒田龍太郎  男2=土倉甲大  霊媒師=吉田卓
   幽霊1=澤田陽佳  幽霊2=小坂朱璃

霊感のある青年が友人の家で幽霊を見るけど、実はもう一人の幽霊が居る。でもこの幽霊は、この家の主人・友人はもちろん、霊媒師にも、もう一人の幽霊にも見えないのだ。この見えない幽霊って独りよがりの自分勝手な存在なのだろうか?

犯人は山田

出演/刑事=渋谷沙里    部下=安井美沙   探偵=黒田龍太郎
   オーナー=後藤涼音  作家=小坂朱璃   霊媒師=吉田卓
   被害者=三ヶ山和輝

あるペンションで殺人事件が起き、被害者は「犯人は山田」とダイイングメッセージを残しているが、出てくる人は皆な山田……何だか『あっちこっち佐藤さん』にそっくりだ。

おやじラップ

出演/オヤジ1=黒田龍太郎   オヤジ2=脇慎一郎
   チンピラ1=土倉甲大   チンピラ2=三ヵ山和輝
   レフリー=安井美沙    後輩=小坂朱里
   妻=後藤涼音       娘=澤田陽佳

家庭でも会社でも居場所のない禿オヤジ。帰途の公園で開かれていたラップ大会のチンピラたちに得意の駄洒落で勝負を挑む。何の意味もない空騒ぎ。踊り狂う二人の中年禿オヤジの哀歓。

キルハウス

出演/父=脇慎一郎   母=渋谷沙里   兄=吉田卓        
   妹=澤田陽佳   爺=土倉甲大   犬=後藤涼佳

働かないで文句ばかり言っている長男に家族一同、犬を含めて本人以外の家族全員が、それぞれ長男に殺意を抱いているが、知ってか知らずか相変わらずの長男。殺意とまでは行かないかも知れないが、良くある状況だろう。

上手にBH

出演/クレソン=吉田卓  バジル=渋谷沙里  タンジー=三ヵ山和輝
   イタリアンパセリ・探偵=黒田龍太郎   ジャスミン=安井美沙
   オヤジ=脇慎一郎  爺=土倉甲大    幽霊=小坂朱璃

開演直前のある劇団の舞台裏。劇団員が間違って上手にブラックホールを造ってしまった。次々と劇団員たちはブラックホールに消えてゆく。下手にホワイトホールを造る妙案が出て、早速造るが、そこからは先に演じた演目、2・3・4・5から次々と出演者が出てきて大混乱。5つの演目の総集編みたいな演目だが、これはどういう意味があるのだろうか?

ご覧の通り、バカバカしいとしか言いようのないナンスンスだけど、何故か可笑しい、大笑いしている。 「不条理」とは、関係が条理・道理に合わない、必然的な根拠が不在で偶然に基づく結果であり、この数編の話も一見「不条理」のように見えるが、これらの話は「不条理」ではなく、起こり得べくして起こった混乱のように思われる。 「不条理」は人間の力ではどうしようもない混乱だけど、今日の話は人たちの意志が引き起こした混乱だと思われるのだ。そういう意図を感じたのだ。