愛より速く FINAL
 観劇日時/17.8.9 19:30~21:20  劇団名/劇団 どくんご  
 構成・演出/どいの  美術・衣装/五月うか  美術協力/深田堅二・みゆ・ウエダサユリ  合唱指導/高山祐司  グッズ協力/aipu・ヨコイマウ  制作/黄色い複素平面社  
 劇場名/札幌・円山公園 自由広場 特設〝犬小屋〟テント劇場
 出演者/石田みや・五月うか・時折旬・2B・Lee

希望的心境吐露の力が異常に強く滑稽だから           排斥はせず笑って共感して受け入れらる

今日の「どくんご」の舞台を、表現の方法論として観ることにした。「どくんご」はドラマを創るというより一人一人の想い、心情などを発散させるのを観ているという印象が強いからだ。
だから今日の舞台も思った通り、登場人物たちが、それぞれの心情を強く、しかもそれは見方によっては滑稽なくらいに日常を離れたパッションで表現する。その積み重ねである。観客たちは日頃感じている、何となしの抑圧を爆発させてくれるそれらの登場人物たちの心情爆発に共鳴して喜び笑い拍手する。
しかもその人物たちが次々と入れ替わり立ち代り激しく告白する内容はリアリティがあるし滑稽なのにその内容は否定的ではない。告白している内容はすべて建設的であり向日的な未来に対する希望の心情なのだ。
その中で唯一会場をシーンとさせたのは「君の名は」だった。異常な背高男になった二枚目と小柄な女性とが群衆の中で会う場面は、警報のサイレンが鳴り響き危険を感じて別れる時に発する「君の名は」の場面を何度も何度も繰り返してひたすら恋の相手を求め続る姿は滑稽なんだけれども客席は静まり返る。今日の舞台の中では唯一シビアなシーンだが、これは1950年代に大流行したNHK・菊田一夫原作の「君の名は」をパロディ化したものだ。現代の「君の名は」とは全く関係のない別作品だ。 今日の舞台の全てに通じるけれども、ここにドラマはない。一人芝居で僕の分類による ① だ。全て個人の心境の吐露だ。その力が異常に強く滑稽だから爆笑するけれども排斥はしない。笑って共感して受け入れる強烈な表現力の2時間だった。