ダイイング・レッスン
 観劇日時/ 17.7/15 14:00~15:05  劇団名/クラアク芸術堂  公演回数/新人公演2017  
 作・演出/こさべあきひろ  舞台監督/長枝航輝  照 明/佐藤誠・若月篤   音響/八木友梨・中村雷太  小道具/佐藤誠・遠山くるみ・若月篤・檜山真理世  衣 装/高橋寿樹・八木友梨・中村雷太・佐藤智子  受 付/高橋寿樹・遠山くるみ・檜山真理世・佐藤智子  宣伝美術/種田基希     制作/後藤夏実  
 劇場名/レッドベリースタジオ(JR札幌琴似駅徒歩5分)

自死を巡るコミカルな抗争

或る僻地の廃屋らしいところへ一人の若い男・本田聡一(=高橋寿樹)が入って来る。この男は一級建築士だが女性に振られ、その時のセリフ「カオがイヤ!」にショックを受け自殺する気だった。
理工系の本田は薬品を調合する趣味があって、ケイタイの指定番号を押せば薬品を詰めたリユックが爆発することになっている。だがなかなか死ねない。 
そこへ鈴木美智子(=八木友梨)が来る。本田は彼女も自殺志願者だと思うが、鈴木は作家で、自殺志願者を探し、その心情を聴こうとしているところだった。二人のコミカルな行き違いのやり取りがあって鈴木は退散する。
泉好実(=遠山このみ)を縛り上げてピストルで脅しつけた松田次郎(=佐藤誠)の二人が現われる。松田は身代金目当ての誘拐犯だったが被害者宅に電話をして人違いだと判ると態度が一変して卑屈になる。
覗いていた本田を発見した松田は逆に本田を脅迫する。そこから三人が命のやり取りを巡って軽薄なマンガっぽい抗争が始まる。そしてそこへさっきの鈴木が戻ってきて再び四人で「死に方論争」が再燃する。
気が合った四人は酒肴を買い整えて人生談義に花を咲かす。世の中の不条理に一発報いて四人一緒に死にたい。だが死ねない……
この経緯を鈴木が台本に書き、本田が舞台を造り、グラフイックデザイナーの泉が宣伝し、ヒーローショウの松田が主演者で、この廃屋を劇場にして客を集めるという空想的で意外な結果のコミック・ドラマだった。