響く感情
 観劇日時/17.7.5. 20:00~21:10  二回目・観劇日時/17.7.12 20:00~21:10  劇団名/Theater・ラグ・203  
 作・演出/村松幹男  音楽/今井大蛇丸  音響オペレーター/久保田さゆり  照明オペレーター/瀬戸睦代
 劇場名/ラグリグラ劇場
 ラジオの声/MC=伊井章  宣伝=萬年わこ  対談者=平井伸之

天災と人災、神と人間とアンドロイド

災害地を旅している若い女性・レイ(=吉田志帆)は、ある都会の被災地で災害の前には恐らく大繁盛していただろうと思われる豪華なバーを見つけて案内を乞う。出てきたのは、この店の女主人・メグ(=田中玲枝)だった。
人恋しいメグは早速にレイを招き入れるが、やはり高級店の矜持を持つメグとでは中々打ち解けられない。その心理劇的な経過が描かれる。
だが前半では、理屈が先に立ってしまい、この二人の女性の現実の生活が分からず、そのためか、この二人の現実に対する論理的な会話がいささか退屈する。
後半になってアンドロイドの存在に対する人間の想い、そして神vs人間vsアンドロイドの存在という話題になって前半の話と後半の話とが分裂してくる。
描こうとする芯は「そこだ」と思うけれども、もの足りない。これは二つのテーマに分けて別の芝居にした方が良いのじゃないのかとさえ思われた。
タイトルの「響く感情」というのは感情的で説明的でウエットなイメージのような気がする。もっと客観的でドライなタイトルの方が〝ラグ〟らしいような気もする。
一週間後の再見での感想は少し違った。初見では僕の感性不足で分からなかったが、再見して思ったのは、前半の二人の感情の対立が後半にきて、神vs人間vsアンドロイドの対立に転化して行く過程なのかなと思われた。
神vs人間vsアンドロイドは結局、神もアンドロイドも人間が創ったものだから、その対立自体が人間の内部抗争とも言えるわけで、それが感情の響き合いともいうような相克のタイトルになったのであろうか?

悪く言えば理屈っぽいのだが、良く言えば論理的で考えさせられる二人の存在である。この三者の具体的な関係を表現する部分でのエンターテインメントの要素は大いに魅力的ではある。