乾いた蜃気楼
 観劇日時/17.7.1 17:00~18:40  劇団名/下鴨車窓
 主催/下鴨車窓・北海道演劇財団・NPO法人札幌座くらぶ  脚本・演出/田辺剛  照明/ぶっちョ  
 舞台監督/OFT   写真/築地静香  制作補/小室明子
 劇場名/シアターZOO

暑さに閉じ込められた人たちの心情

雨量不足の年は水道が不通になり、住民たちは自宅から遠い麓のコンビニに駐車している給水車からポリタンクで飲料水を自宅に運ばなければならないという劣悪条件の高台にあるマンションの一室に住む若い夫婦、船田亮(=藤原大介)と船田真澄(=大沢めぐみ)。
夫・亮は予想外に高額な退職金を夢見て転職を考える。妻・真澄は必ずしも反対はしないけど今の生活を楽しんでいたい。
酷暑のある夏の日、真澄はDVDを見ながら水着一枚でテンポの速いモダーンダンスに汗を流している。亮は大汗かいてポリタンクで2杯もの飲料水を運んでいる。
日常生活の何気ない一端であろうか? そこへ20年も昔の高校時代の同級生・鳥飼雄二(=高杉征司)がNHKの契約促進社員となって偶然にこの家を訪ずれる。
この三人のリアルだか現実なのか?それぞれの妄想なのか?という何日間が描かれる。
この暑い日々の描写が、この人物たちの閉じ込められた心情の象徴なのだと思って観ていた。暑さがインパクトでありシンボルなのだから観客もその暑さを身体で感じられる状況にあれば、この三人の閉じ込められた心情に誘い込まれるのが舞台の魅力だと期待した。

だが現実のこの劇場はむしろ寒いくらいだった。特に僕は昨日までのうすら寒さに懲りて長袖のセーターだったが、今日は急に暑くなったので半袖シャツに着替えて来たので冷房が効き過ぎて寒い、寒い……。舞台は暑さによる心情の追い込まれを描いているのに客席は涼しいと言うより寒いので逆反応の演出なのかなって余計な事を考えて集中できなかったのだった。