そこは星のあわい
 観劇日時/17.06.24 14:00~15:10  劇団名/演劇公社ライトマン  公演回数/第19回公演
 作・演出/重堂元樹  音響操作/演劇公社ライトマン  照明操作/ヤマダケンジ  舞台美術・設計/フレンチ    宣伝美術/千葉美香・田村嘉規  制作/演劇公社ライトマン  
 劇場名/あけぼのアート&コミュニティセンター3F稽古場

高い所(大所高所)の人の悲哀

街の中の高い櫓の上に組み立てられた狭い空間に閉じこもって、終日、街を見張る男・渕上哲也(=田村嘉規/Wで中島麻載)と、その近所の家のバルコニーで終日寛いでいるような町会議員・武部慎太郎(=山田プーチン/Wでフレンチ)との関係。
渕上のこの仕事の真の理由とは、武部との間に互いに何らかの権益があるのか無いのかと思って観ていたのだが、どうしても分からない。何故か? 肝心の二人の会話の中に、それらしい言葉が出そうで出ないのだ。そして人物相関図が分かり難く、それは呼び名がコロコロ変わるから混乱するのだと思って観ていた。
結局、興味深い設定なのだが了解不可能だったので台本を借りてきて読んでみた。どうしても僕は理屈先行の気が強い。そして詳しい相関図を作ってみた。
二人の呼び名は渕上が「ブッチ」「哲兄」。渕上の友人という櫓へ遊びに来る得体不明の男・飯田昌(=フレンチ/Wで田村嘉規)は「アキラ」「メッシー」。武部の婚約者・岡野允希(=千葉美香)は「ミッキ」「充希」などと表記されて、そう呼ばれていることが分かった。これでは混乱する。
台本を読んでも、この渕上と武田との関係は恋敵であったことはラストで分かるのだが、街の見張り役と町会議員との何らかの権益関係についてはついに不明だった。そこを想定するのが観客の推理力なのかなとも思うのだが、やっぱり根拠薄弱のような気がする。
櫓に昇降するのに、舞台前面を上手から下手に亘って造られた雲梯を使って出入りするという設定も秘密っぽくて何らかの意図が推測されるのだが、それと同時に、この雲梯をぶら下がって出入りするアスレチックな演技がとてもエンターテインメントとしてユニークで面白い趣向だ。

その他の出演/武部の部下・松島航平(=中島麻載/Wで鈴木朝陽)