映画 禁じられた遊び  鑑賞日時/17.5.27 14:00~15:25  会場/アートホール  日本公開年/1952年  製作国/フランス  公開年/1952年
 脚本/ジャン・オーランシュ  ピエール・ボスト  ルネ・クレマン  監督/ルネ・クレマン  音楽/ナルシソ・イエペス  撮影/ロベール・ジュイヤール  編集/ロジャー・ドワイア  製作/ポール・ジョリ  日本配給/東和 1953年9月

戦災孤児の新しい生き方の挫折

この映画は60年以上も前の頃、日本中で大好評だった記憶があり、おそらく僕もその頃観たはずだと思うけど、ほとんど詳しい内容は覚えていない。でも多くの人もそうだろうと思うけれども、この主題曲であるギターソロは絶対に忘れられない名曲として今も僕の記憶にある。後で聞いたところによると、オーケストラを使うには予算が足りなかったと言うことらしい。でも逆にそれが後世に残る名曲となったわけだ。 
 さて僕にとって殆んど初見とも言えるこの名作映画――もちろんモノクロだけど、それは全く気にならなかったけれども……
開巻初頭、卍(ナチス)ドイツのフランス空爆による農民たちの混乱と悲劇はまさに反戦映画そのものだ。それを、これでもかこれでもかと延々と描写する。
それから、この空爆によって戦争孤児となったポーレットという5歳の少女の生き方、発端はともあれ、その後は必ずしも悲劇とは言えない新しい生き方が始まる。
偶然にミシェルというやや年上の少年と知り合ったポーレットは、両親や愛犬との死別から、むしろ新鮮な人生へと生まれ変わったのかもしれない。ミシェルの家族からも受け入れられたポーレットとミシェルとの「禁じられた遊び」が始まる。
だがほとんど初見の僕としては、この遊びの発端と、その発展の細かな展開が、うまく納得できなかった。何か気が付いたらこの二人が「禁じられた遊び」にのめり込んでいたという印象だった。この二人がこの遊びに捉われていった経緯がもっとていねいに表現されていた方が何かが判るような気がする。
それと、この家族たちや隣人たちが多人数過ぎるので、その相関関係がよく判らずお互いの想いの相克にリアリティが感じにくい気がした。
戦災孤児に対する優しさと自分たちの存在を守るための矛盾、それがあの非常時での対応にリアリティを感じる。
そしてラスト・シーン。ポーレットは赤十字の孤児収容所に収容されるために、ある駅に集められ、訳が分からずに集団の中に居る時〝ミシェル!〟と呼ぶこえが聞こえる。それを聞いたポーレットは「ミシェル!」と叫びながら群衆の中に飛び込んでFINという衝撃。……観客は何を考えれば良いのだろうか?