どんぐりの学校 観劇日時/17.3.11 13:00~14:00 劇団名/北海道新篠津高等養護学校 演劇部 公演形態/全国高等学校演劇研究大会出場記念公演 作・演出・舞台監督/山田勇気   照明効果/松本研司  音響効果/鈴木裕子      その他/中村佳代・永田みゆき   以上全員教職員 劇場名/ポルトホール 出演者/ 高田三郎(転校生)   =加藤政人 (1年) 林光輔         =鍋島慧吾 (2年)  伊藤三和(担任教師)  =関口真優 (2年)  髙橋空         =舟木美玖 (2年)  黒川いるも       =小倉いるも(3年) 星野あかり       =工藤香菜穂(1年) 岩淵純         =岩崎舜  (3年) 佐々木瑞穂       =佐藤佑花 (1年) 山里皐月        =鈴木紗那 (1年) 田中先生(伊藤の先輩) =砂川瑠果 (2年)

みんな違ってみんな良い

この舞台を観ていて、上記の金子みすずの詩の一節を思い出した。動きが鈍かったり応答が遅かったりする人を「ドンなやつ」とか「ドンくさい」とか人を差別する時によく使われる言葉だ。「鈍」とか「貪」を連想するのだろうけれども、この舞台では「ドン」から「ドングリ」を連想させて、担任の伊藤先生は知的障害の高校生たちに宮澤賢治の「どんぐりと山猫」を劇にして演じる事を提案する。
この子たちに柔らかく強く教える先生、もちろん、この先生も生徒が演じるのだが、一郎の役を演じる高田三郎は転校生、自分の存在に身動きが取れずますます落ち込み凶暴になってゆく林クンもやがて得意のギターでBGMを演奏することになって徐々
に協調する。そうして、それぞれ個性が大きく育って、だんだんと皆が一つの創造に
力を合わせてゆく。
その他の生徒たちも、それぞれの個性を「どんぐりと山猫」の裁判の結果を踏まえて自分たちの存在を自覚してゆく。この養護学校と山猫の裁判とを橋渡しした、この物語の着眼点がユニークで素晴らしい。
そしてそれを訥々と誠実に演じる生徒たちは、きっと自分たちのこととして強く感じている事だろう。演劇を道具に使いながら演劇そのものの魅力を強く興味深く表現した佳作であった。