16年度北海道戯曲賞優秀作品リーディング公演 観劇日時/17.3.5 14:00~15:35  15:40~16:50 主催/公益財団法人 北海道文化財団  協力/公益財団法人 北海道演劇財団 作/海の五線譜=吉田小夏  Sの唄=藤原佳奈   演出/斎藤歩      照明/佐藤健一    音響/熊木志保 劇場名/シアターZOO 出演者/高子未来・西田薫・堀田淳之輔・山本菜穂・渡辺ゆぱ     山野久治・横尾寛

「リーディング」という公演方法

「リーディング」という公演方法について以前は公開稽古の一つだと思っていた。観賞したい舞台が、古典戯曲や再演あるいは他の劇団や集団が、かつて上演した戯曲を公演する時は仕方がないとして、新しい戯曲を観劇する時には出来るだけ先入観を持たずにサラな気持ちで観賞したいと、ずっと思っていた。
だから「リーディング」は観ない・聴かないという方針だった。どうしても新しい作品を先に確認したいのなら「リーディング」という一つの形に創られたものよりも、むしろ戯曲そのものを読むべきだと思っていた。
それが何故かこのごろ「リーディング」という形式が一つの表現方法として定着したような気がする。去年大賞の『天気が悪い』の「リーディング」は正直言って退屈で途中何度か居眠りしてしまった。納得がいかなかったので、本舞台を観たら全く違っていて睡眠不足の悪条件にも関わらず、コミュニケーション断絶のニヒリズムとでもいうような強い衝撃を受けたのだった。「リーディング」と本公演とでは、こんなにも段差があるということが新しい発見だったのだが、これは単にこの時の「リーディング」が成功しなかっただけなのか? 僕の感受性に何か欠陥があったのか?
とにかく「リーディング」という公演について今はやっぱりある疑問を持ちながら、先入観を持ちたくないという気持ちも含めて、あるいは逆に本舞台とどう違うのかというようなある期待も併せ持つという矛盾を抱えて「リーディング」の客席に座ったのだった。
だが結局、今日の結論は『天気が悪い』の「リーディング」の時と全く同じ現象が起きてしまった。その原因が分からない。耳で聴くだけでは了解出来ない部分を戯曲では読み返して確認できるからなのだろうか?
終演後、作者二人と選者の斎藤歩氏、前田司郎氏のクロストークがあったが、これはこの作品の内容にかんする作者の感想と演者の質疑応答だけだったから本舞台を観ないと僕には何ともいえないのだ。