邪宗門 観劇日時/17.2.25 15:00~16:35 劇団名/実験演劇集団 風蝕異人街     公演形態/札幌演劇シーズン2017冬 参加作品 作/寺山修司   演出・照明/こしばきこう・佐藤律子  装置/こしばきこう   振付演出/三木美智代  振付/牛島有佳子・柴田詠子   音響オペレーター/佐藤慎哉  小道具・舞台スタッフ/秋山倫瑠   写真撮影/藤川弘毅  Special Tanks/演劇集団 池の下(東京)   協力/長谷川碧・岡谷友美・山口裕佳・佐藤駿・山川瞳・村場もと子・      小原ハナコ・吉武裕二・安川友弥子   制作/実験演劇集団 風蝕異人街 劇場名/ことに コンカリィーニョ 登場人物/   影ふみの女の子=九十九レイナ・柴田詠子   山吹=稲川実加        山吹の黒子=山本由梨   おぎん=堀きよ美       おぎんの黒子=牛島有佳子   山太郎=三木美智代      山太郎の黒子=柴田詠子   耳なし芳一=村上友大     耳なし芳一の黒子=黒田美幸   人形使い=リンノスケ・村場踊   紙芝居屋実は一寸法師=宮森駿也・剣崎馨   角兵衛獅子=倖田直機     孝女白菊=九十九レイナ・小林あかね   孝女白菊の黒子=本谷裕子   鞍馬天狗=平野たかし・村場踊   私窩子姉=太田有香      私窩子妹=こいけるり   子守狂女=汝・蜜・阿部樹子  人形=本谷裕子   雪の丞=リンノスケ      「隠亡」のマスター=宮森駿也・剣﨑薫   娼婦おろく=高城麻衣子    姥捨ての婆=興膳津・長谷川詩織   簪組=宮野入恵美子・山内紀子・田中瑞枝 音楽演奏/ギター=ヌルマユ永井  ジャンベ=鼓代弥生・佐藤夕香

沢山の因子に拡散された薄味の舞台

話の芯は、恋する女性・山吹の求めに応じて、男・山太郎は実の母親・おぎんを殺害するという最悪の不道徳にのめり込んだ人間の心情を描き、それと対比するように別の男女の関係を脇筋で描写するのだが、この男・山太郎の陥った心を形で表出するように、物凄い人数と5本の十字架らしき柱や仏壇、台座などが舞台いっぱいに飾り込んである。
見方によっては、このオドロオドロしい仕掛けが、この山太郎の心情でもあるとも言えるのかもしれないが、逆に拡散して見えにくくなっているという感じが強い。
例えばギター男が長々と大声で捲し立てるのだが、それは単に何かを叫び立てているだけでその内容は全く理解できない。内容は判らなくても、ギター男は山太郎の破壊された無茶苦茶な神経の象徴とも言えるのかも知れないが、それが直接的には響いてはこない。このギター男が叫ぶ最後の一言だけが良く聞き取れた。わざと、その最後の一言だけを聞かせたのだろうか?
このギター男が象徴するように、この舞台のほとんどの表現が意味不明なのだ。それぞれに憑いている黒子たちなども複雑に絡まって混乱する。
途中まで相関図が中々理解出来ずに配役表と首っ引きで舞台を眺めていて集中できない。こんな観劇なんて不純だなって思いつつ……
「風蝕異人街」は『阿呆船』での上演では、ピリリと引き締まった好舞台に魅了されていたのだが、舞台が拡大するに伴って段々余分な因子が拡散して強烈な魅力が薄れていくような気がする。
そういう先入観に惑わされないように気を付けながら観ていたのにやっぱり、というか、そういう事に気を付けざるを得ない状況に滅入るのだ。