曲がれ! スプーン 観劇日時/17.2.19 14:00~15:50 劇団名/演劇集団 森組 作/上田誠  演出/森昌之  照明/岩ヲ脩一  音響/島野浩一 宣伝美術/八戸めぐみ   スライド製作/三上真弓     制作/岩井英司・大崎直樹・黒田龍太郎・前谷尚武   当日スタッフ/伊藤明子・井上雅晴・長田千秋・高木亮佑・ 三上真弓・星野厚志 劇場名/滝川市 たきかわホール 出演者/喫茶店の店長=安井美沙     エスパー=渋谷沙里・関尾昂人・土倉甲大・吉田卓・脇慎一郎     細男の神田=三ケ山和輝  AD=上田悠菜 喫茶店の客=新井康平・佐藤芽衣

多数出演の大エンターテインメント

喫茶店「カフェ・ド・念力」の常連エスパー5人が、ある日秘密パーティを開く。彼らは日常では異常者に視られるために、その能力は隠しているのだ。
そこへTVの取材を受ける約束の異常能力、といっても単に狭い空間を潜り抜けることが出来るだけという、いわゆるエスパー超能力ではない神田という男が紛れ込む。
そこへ遅れてやって来たTVのプロデューサーADがその能力を見て、その程度の力では主任プロデューサーに脚下されるという。
店主と5人のエスパーたちは、自分たちの存在がバレルと困るので何とか自分たちの超能力を使ってADを帰そうとするが、必死にADに食い下がる神田によって巧くいかない。実は店主はその細男・神田をエスパーと思い込み、それ以後エスパーを大事にしてきたという経過があったのだが……
そのテンヤワンヤが、怪力による物体移動や瞬間自己移動、念力で電気器具を始動
させる、他人の心を読む、透視術などの5人の力を上手く見せる。それは一種のマジック・ショウのような舞台技術を使った中々面白いエンターティンメントなのだが、これがこの芝居の魅力なのだろうか? 2ステージの僕が観た初回は100人くらいの客席が1,500円でほぼ満席、地方劇団の公演では考えられない力量だ。
だが考えてみると、この舞台の芯とは何だろうか? 群集心理の危険なのだろうか?個人の秘密漏洩の危機なのか、過大報道への警告なのか、危機に面して秘密に智恵を結集することの重大さなのか、もう一度考えるとタイトルの「曲がれ! スプーン」とは大事な時に発揮できない能力に対する警告なのだろうか?
ADの視線を他へ向けるために闖入男の神田を何とか脅して、怪力念力によって窓外の空中を飛ばすシーンなどアハハハと笑って眺めていたのだが、フトこれは一体何なのだろうかと不安になったのだ。それがこの舞台の芯だったのだろうか?