Laundry room NO.5   観劇日時/17.2.12 17:00~18:40 劇団名/ネクステージ 公演形態/札幌演劇シーズン2017―冬 参加作品 脚本・演出/川尻恵太  演出助手・映像制作/山田マサル   舞台監督・美術/上田知  音響・宣伝写真/奥山奈々     照明プラン/藤田真由子  照明操作/岡本康希     宣伝美術・グッズデザイン/戸澤亮  楽曲提供/テツヤ       制作/クリエイテイブオフイスキュー 劇場名/cube garden 出演/田中温子・戸田耕陽・佐藤亮太・赤谷祥次郎・戸澤亮

意味不明の若者文化?

宣伝フライヤーによる惹句は「奥に秘密の部屋があり、過去を一つだけ帰る事が出来る」であり、大人になってからそこに集まった幼馴染の4人は、過去が変わってしまった可能性をみつけてしまう。という物語だ。
荒唐無稽ではあるけれど、若い人たちの夢物語としてロマンチックな展開であれば期待できるのかなって思った。
コインランドリィは衣服を洗い直す場所だから、その中に人生を洗い直す場所があるというのも意外だが有り得る神秘かなとも思ったりした。
だが実際に始まった舞台は全く意味不明だった。時間と空間とが意味不明に交錯して何が起こっているのか殆んど分からない。舞台もコインランドリィとは思えないところだが、実はここは廃園になった巨大テーマパークの中の「魔法のランドリィ」なのだ。もう全く訳が分からない。
でも周りの若い観客は笑い声をあげながら楽しんでいるようだ。僕だけ取り残されている。これは殆んどマンガの世界なのだ。マンガは日本独特の文化として世界中から憧れられている。だからこれを観るには、そういう感覚が必要なのだろう。
マンガと言えば、先日のマンガを原作とした映画『海街diary』はまるで小津安二郎を彷彿とさせたのだが……
さて戻って、最後まで分からなかったが、気になったことが二つ、一つは期待の田中温子が単調で僕のイメージと全く違っていたのだが、同行の若い人によると、これがマンガ的表現なんだそうで、田中温子はその感覚と魅力を上手く表現している力量のある俳優さんだそうだ。成程…… 
もう一つはギャグに下ネタを多発することだ。若い人たちが創る物語には普通に下ネタが出て来るが、おそらくそれはトイレが清潔になって日常生活に無理なく同化できる現実が一般化したからだろうって思っている。
下ネタについては昔に書いた文章があるのを思い出した。

          ☆

(略)なぜ人はバカ話や下ネタ話が好きなんだろう。子供は特にそういう話が大好きである。大人だってホントは好きなんだ。理性が邪魔して遠慮しているだけで、遠慮のない子どもたちは素直に喜ぶのだ。だから酔っぱらって理性が減ると、すぐ下ネタ話になる。
人間は生きていくために様々な抑圧があり、今風にいえばストレスとの闘いの中で生きていかざるを得ない。(略)そういう日々の中では、突飛なナンセンス話で笑い飛ばすのが心情回復のために一番効果的だったのではないのか。そして下ネタは健康でなければ受け付けにくい。心身が健康であることのバロメーターともなり、健康を損なっている人々の回復剤ともなろう。
(略)大らかなナンセンス話と清潔な下ネタ話、清潔な下ネタ話とは形容矛盾かもしれないが、そこにこの手の話の核心があるわけで下品な下ネタは嫌われる。(略)
雑誌『風化』第127号所載2001年「落語精神でいこう」より