後 記

『〝あの日たち〟へ 』                     17年1月

今から60年ほど昔に、旭川に「劇団・河」という演劇集団が出来た。僕も今を遡る42年前から中途参加し、様々な事情から一時的に活動が出来なくなった30年前までの12年間を役者という舞台創造の一員として過ごした。
この劇団の後半二十年間の激動の歴史を克明に叙述した『〝あの日たち〟へ』という本が昨年の暮れも押し詰まった頃に上梓された。旭川出身で元・NHK放送局長の那須敦志さんがお書きになった、この本の中には若き日の僕、といっても40年前の40代の僕の実像も紹介されている。
この本の宣伝フライヤーの裏面に僕は独自のコメントを書いて僕の個人的な人たちへのメッセージとしている。それが次の文章である。

「〝あの日たち〟へ」 のご紹介                   松 井 哲 朗

30年ほど前に、様々な事情で活動を中止せざるを得なかった旭川の「劇団・河」の激しく凄まじくも華麗な20年の歴史を紹介する新しい本が出来ました。

私、松井も、その歴史の最後の12年ほどを、その劇団に所属し、当時はそんな自覚もほとんど無いままに夢中で舞台創造の作業に参加していました。

いま、この本の最終ゲラを読み返してみて、この「劇団・河」が当時の日本演劇界の重要な一端を担っていたということに改めて驚いています。

そして、「劇団・河」の〝DNA〟が、現在の北海道演劇界に及ぼしているエネルギーも再認識しました。

このチラシの人物写真の右側中央の、煙草をふかしている中年不良オヤジが、本書の中にも時々登場する僕の40年前の舞台写真です…

どうか本書をお求めの上、当時の熱い想いを明日のエネルギーの一つとして戴ければ嬉しい限りです。宜しくお願い申し上げます。

2016年12月10日