珈琲法要

観劇日時/16.11.27  14:00~15:20
劇団名/青年団リンク ホエイ
公演形態/2016TGR参加・【Re:Z】企画

作・演出/山田百次  照明/井坂浩  プロデユース/河村竜也

劇場名/シアターZOO

出演/諸手足軽・斉藤文吉=河村竜也  
郷夫・藤崎村の忠助=山田百次

単なる悲劇の描写

今から220年ほど前の江戸末期、ロシアの軍事南下を防衛するという目的のために、津軽藩の下級武士たちが、現在の北海道・斜里に大部隊として派遣された。
だが食糧品の圧倒的不足と極寒のために大部分の兵が殉死した。その経過を二人の兵と、和人を憎みながらも個人的にはその和人兵士を世話するアイヌの若い女性・弁慶(=菊池佳南)の日々の厳しい生活の記録だ。
最後には全身が水膨れのようになって藤崎村の忠助は死に、残った斉藤文吉は辛うじて帰郷するが、その150年後にその日録が発見された。この舞台はその再現である。
施政者の思慮の浅い権力行使による下層階級の悲劇が描かれるのだが、この舞台は堅実に創られてはいるのだが、単なる事実の説明だけというか、淡々と経過を描写しているだけのようで劇的効果が感じられない。だから哀しみは強いのだが、怒りが起こらない。……訳じゃないが歯がゆいというか、持って行き場がないというか、籠ってしまう焦慮感が強いのだ。折角の貴重な歴史的事実なのに消化不良の気がする。