親の顔が見たい

観劇日時/16.10.30. 18:00~19:05
主催/NPO法人 コンカリーニョ 共催/公益財団法人北海道文化財団
コンカリーニョ満10歳!記念yearプロデュース演劇公演 第2弾

作/畑澤聖悟 演出/納谷真大 演出助手/佐藤杜花・廣瀬詩映莉
プロデューサー/斎藤ちず 照明/高橋正和 音響・選曲/大江芳樹
衣装/佐々木青 美術・舞台監督/高橋詳幸 宣伝美術/小島達子
宣伝写真/奥山奈々 制作/太田真介

劇場名/コンカリーニョ

出演/森崎次郎(志乃の父)=江田由紀浩  
森崎雅子(志乃の母)=小島達子
長谷部亮平(翠の父)=能登英輔
長谷部多恵子(翠の母)=のしろゆうこ
辺見重宣(のどか祖父)=宮澤りえ蔵
辺見友子(のどか祖母)=小山由美子
八島操(麗良の母)=上總真奈
柴田純子(愛理の母)=林千賀子
井上珠代(道子の母)=柴田知佳
校長・中野渡正治=松橋勝巳
学年主任・原田茂一=小林エレキ
学級担任・戸田菜月=谷川夢乃(W=工藤沙貴)
道子のバイト先・新聞販売店・店長=遠藤亨

自己弁護の丁々発止の展開

ある上流女子中学校の生徒・道子が自殺した。苛めによる追い込まれらしい。その遺書に名前を書かれていた道子の友人、志乃・翆・のどか・麗良・愛理の5人の両親2組、祖父母、父が急用で来られない母、そして片親の母の合計8人が急遽、この学校に呼ばれる。
この自死した道子を含む6人のグループは、一見仲良しだが自死した道子は関係先にそれぞれこのグループ5人の名前を書いた遺書を送っていた。この書置きを巡り、宛名の両親たちの自己弁護の丁々発止の展開。
つまり、この舞台は、道子の自殺の遠因とも思われるグループ5人の親たちの苦渋の素顔だ。そのやり取りの一部始終は緊迫したリアリティのある人物像が描かれていて眼が離せない。
この舞台は以前に確か観たことがあると思って調べたらやっぱりあった。記憶の不確かなことが悩ましい。その時の観劇記が今日よりも良いので、そのまま転載する。

   ☆

観劇日時/14.8.21. 13:30~15:45
劇団名/劇団 昴  
上演形態/旭川市民劇場8月例会

作/畑澤聖悟 演出/黒岩亮
美術/柴田秀子 照明/古宮俊昭 衣装/竹原典子
音響/藤平美保子 舞台監督/井上卓 演出助手/河田園子
宣伝美術/真家亜紀子
劇場名/旭川市公会堂  (その他の詳細は省略)

自己弁護の倒壊過程

ある私立女子中学校の生徒が自殺した。原因は同級生のイジメである。遺書に書かれていた5人の同級生の保護者たちが急遽、学校の会議室に集められる。
名前が書かれていただけで、その子たちがイジメの犯人であるという証拠は全く無い。参考のために親たちに心当たりを聞くということだ。
混乱する学校当局に対して無実を主張する親たち。だが一組の祖父母の証言によってこの5人の子供たちの関わりが徐々に露わにされて行く。 
学校側の説明に対して、必死になって自分の子供を愛するという基本的根拠での自己弁護と自己主張の論理を展開するが、次第に崩れて行く。そして最後には虚しく一人また二人と去って行く展開は『十二人の怒れる男たち』に類似している。
そして自分勝手な論理の展開は『死にたいヤツら』にも似ている。戯曲の構造は36通りしかないとう、井上ひさし氏の定義は本当かもしれない。 
ラストに近く、涙に暮れた母親たちが詰まった鼻をズズーッとテッシュでかむ演技は本当に鼻水が出ていた。こういう生理的現象も演技で出来るのだろうか? 泣く演技で本当に涙を流す演技が出来るのは巧い演技者だと言われているのだが……
前夜の寝不足のため途中で寝てしまうかもしれないと思っていたが、1時間40分の圧倒的迫力に全く眠気は吹っ飛んだ。(『続・観劇片々』46号所載)