八百屋のお告げ

観劇日時/16.10.24 19:00~21:10
劇団名/グループ る・ぱる

作/鈴木聡 演出/木野花 
美術/田中敏恵 照明/稲葉直人 音響/内藤勝博
衣装/竹原典子 演出助手/大野裕明 プロンプター/荒牧奈津希
舞台監督/村岡晋・内藤伝助 イラスト/荒井良二 宣伝美術/鈴木勝
宣伝写真/田中亜紀 制作/有本佳子・和田沙緒理 
票券/新居朋子・足立悠子

劇場名/岩見沢 まなみーる

生と死とをポジテブに考える

良く当たると言う占いで評判の八百屋さんから、今晩12時に寿命が尽きると告げられた熟年の女性(=松金よね子)。二人の子供は独立してすでに長い間の没交渉。夫とは別れて今は独身だが死を受け入れる覚悟は出来た。でも二人の親友には賑やかに一席を設けて一緒に最後を過ごして欲しかった。
それを聞いて駆け付けた親友(=田岡美也子)は、子どもはいないが心の離れた夫との倦怠の日々で今日の午後は姪の結婚式だったし、続いて駆け付けたもう一人の親友(=岡本麗)は生涯独身で多くの男と不倫の日々という半生だが、その現在の不倫相手が急死して今夜が通夜だった。ここで生と死との対照がくっきりと現われる。
その時、真空パックで蒲団類を小さく整理する器具のセールスマン(=大谷亮介)が来訪し、3人はその見事な販売テクニックに感嘆して思わず大量に買い込む。セールスマンは何日分かのノルマを達成したので今日は仕事を休んで家事サービスをすることになる。これもこれからの人生を象徴するエピソードだろうか。
そこへ宅配便の配達人(=酒向芳)が現われ、彼も八百屋から明日24時に寿命が尽きることを宣言されたが、いま八百屋へ行ったらポストに、さっきこちらの友人が入れた八百屋を非難・抗議するメモがあったので自分も同じ運命だからと訪ねてきた。
3人の女性は学生時代に憧れた合唱団の指導者をこの席に呼ぼうとするが、電話に出たその息子(=本間剛)は、既に父は病没している。だが以前に同窓会の案内に死別を伝えると同窓会がお通夜のようになったと聞いていたのを思い出して「父は旅行中です」と言う嘘を伝える息子の電話の声を聞いた3人は、その声が憧れの父親にそっくりだったので代わりに来てほしいと懇願する。
セールスと配達人の二人は、偶然にラーメン・フアンで二人のブログ「カッパ」と「男爵」だと判り偶然の出会いに喜ぶ。
これらの男女6人の宴会が始まって、その時を迎えるわけだが、その成り行きの展開は、生きる気力の源泉に通じるようだ。
話が都合よく出来ているようだが、一々確かな裏付けがあるからとてもリアリテイがあって大笑いをしながら、死というもの、そして生きるということに対して改めて考えさせられポジテブに日々を生きることこそがベストだと確認させられる。
時間が近づいて当の彼女は隣室へ去ったのだが、結局、12時を過ぎた時に盛装してニコニコと元気よく現れた。これは観客に対する付録だろう。