寄稿 9月に観た札幌の演劇から

伊東仁慈子

肝っ玉おっ母とその子どもたち  ブレヒト/作 脚色・演出・音楽/斎藤歩
 幸絵さん、歩さん、納谷さん、芸達者は揃っていたのですが、物語の流れが速く、おまけに同人物が何役も入れかわるので内容が充分に理解できぬまま30年戦争が終わりました。
 ~この戦争は世界の歴史からみると、とても重要な戦争で、ウェストファリア条約につづき、今の国連に繋がっていくそうです。(佐藤優『世界史の極意』)
 ※この条約によって、ヨーロッパにおいて30年間続いたカトリックとプロテスタントによる宗教戦争は終止符が打たれ、条約締結国は相互の領土を尊重し内政への干渉を控えることを約し、新たなヨーロッパの秩序が形成されるに至った。(Wikipedia)

PION    前田司郎/作・演出
 笑いながら観ていたが、終演後、中々奥が深いなア~と思いました。
 自己と他者、分かり合えない他者とどうつながるのか、通路はどこにあるのか。
 動物と人間。本能と理性(知性)。
 檻(狂人・罪人・猛獣などを入れて置く囲い)の中と外。
 安部公房の『友達』『どれい狩り』を思い出しました。
 言葉遊びのような、いわゆる〝お笑い〟の中に、愛って、幸せって、真実って、本当って何ですか?!  生者って、 死者って、境界線はどこですか?!
 前田司郎の切実な問いが聞こえて来るようでした。

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私信の中から前記の文章を紹介します。僕の観劇記と良く似ているのだけど、この方が、ずっと核心に触れて奥深いので、本人の承諾を得て掲載します。(松井)