THE BROCCOLIES

観劇日時/16.9.25 13:00~14:35
主催/NPO法人コンカリーニョ  
共催/公益財団法人北海道文化財団

脚本/深浦佑太  演出/川井〝J〟竜輔
照明/上村範康  音響・宣伝写真/奥山奈々
舞台監督・舞台美術/高橋詳幸
舞台監督助手/米沢春花
映像・フライヤーデザイン/山田マサル
制作協力/泉香奈子・蝦名里美・中村友紀・小森春乃・井町久美子
主題歌/シーリングライツ
プロデューサー/藤谷真由美

劇場名/コンカリーニョ

出演者/馬場(ババ)=赤谷祥次郎   楽田(ラクダ)=戸澤亮
牡牛(オウシ)=井上嵩之    地井田(チータ)=柴野嵩大
蝶野(チョウノ)=遠藤洋平   大蝗(オバタ)=木山正太
得村(トクムラ)=和泉諒(23日24日17時)or朽木部允(24日13時25日)
入江(イリエ)=山科連太郎   恵原(エバラ)=根岸雄登
迫水(サコミズ)=遠藤洋平    財前(ザイゼン)=佐藤亮太
蛇倉(ジャグラ)=根岸雄登    
蛇栗(ジャグリ)=ジャグラー・コーヘイ(23・24日)or和泉諒(25日)

科学の発達と人間存在との矛盾

 栄養価が最も高いと言われる野菜のブロッコリーを、こよなく愛食する男・ババが、ある朝目が覚めると、全く見知らぬ場所に、これも見知らぬ何人かの若い男たちと一緒に伸びていた。ここは巨大に生育したブロッコリーの森の中だ。
 若く健康な男のDNAを取り出してブロッコリーに植え付け、ブロッコリーの栄養価をより高め市場価格をより高めようとする商売人の為に、その若い男性たちは絶海の孤島に連れられて命を失うのだ。
 彼らはその犠牲になっているらしい。だが被害者たちは恐怖妄想の挙句、犯人は善意のNPOだと思ったり、それぞれお互いがスパイだったり手引きだったりと疑い合い、それが失敗したのだろうか、などとか様々な憶測を生む。中には虚無的に「殺して有効に利用してくれ」とか、「家族の健康のために犠牲になる」とか混乱し、犯人探しも始まる。
 いつの間にかボロ衣装を纏った男たちに出会う。彼らはずっと以前に同じようにこの孤島に連れられて来て、以来ブロッコリーと、その後に来た人間たちの人肉で生き延び、助けを待っているのだと言う。
 だが結局は相打ちで全滅し、最初の男は巨大なブロッコリーは水に浮くことを知って孤島を脱出し、気が付いたら元の現実に戻っていた。  
 荒唐無稽のコメディなのだが、ここから何が見えるのだろうか? 科学の発展の末に科学が逆に人間に悲劇をもたらす矛盾の物語だとは言えるが、それにしては大仰で混沌として重すぎる。矛盾の悲劇を意識し過ぎたのだろうか。むしろ、それを芯に軽やかに表現した方が、分かり易く訴求力は強かったのではないかと思われる。