肝っ玉おっ母とその子どもたち

観劇日時/16.9.24 14:00~15:15
劇団名/札幌座  公演回数/第50回公演

作/ベルトルト・ブレヒト  翻訳/岩淵達治
脚色・演出・音楽/斎藤歩
演出助手/清水友陽  舞台監督・大道具製作/尾崎要
照明/熊倉英記
衣装/市川薫  小道具/山本菜穂
音響プラン/すがの公  音響OP/市川薫 宣伝美術/若林瑞沙
制作/横山勝俊  プロデユーサー/木村典子
音楽製作/北海道教育大学岩見沢校音楽コースの学生たち
トランペット=吉尾夢夏・ホルン=芦澤龍一郎
トロンボーン=高島崇・ユーフォニアム=板垣侑里
チューバ=長尾保郎

劇場名/サンピアザ劇場

出演者/アンナ・フィアリング=櫻井幸絵
司令官・敵の曹長・書記・兵士=斎藤歩
老婆・農夫=宮田圭子
農婦=山本菜穂
書記・老婆の息子・農婦の息子・酒場の客・兵士・雑兵=佐藤健一
農民=高子未来・市川薫     
カトリン=熊木志保
料理人・大佐・農婦・兵士=納谷真大
アイリフ・酒場の客・農夫・兵士=彦素由幸
スイスチーズ・酒場の客・兵士=小佐部明広
イヴエットポッティエ=西田薫      
従軍牧師・農夫=福士惠二
曹長・眼帯をした男・見習い士官・酒場の客・兵士・農夫=伊東潤
徴兵係・兵器係・酒場の客・兵士・雑兵=山田百次

繰り返される歴史の真実

 宗教の分裂から始まって400年前のヨーロッパ中を巻き込み30年も続いた大戦争。その中で軍隊を相手に荷車に積んだ生活用品を売って生活の糧にしなければならなかった「おっ母」の矛盾の物語は、基本的に力強く、しかも軽快な音楽の助けによって辛気臭くなく軽やかに演じ切ったと思われる。この音楽が「おっ母」の存在を象徴しているのだろう。最後に一人になっても「おっ母」は生きていくのだろう。
 そしてその矛盾は400年経った現在でも本質的には全く変わっていないのが人類の哀しい歴史であろうとも思われる。兵器産業はもちろん原子核産業にも通じるわけだ。 
 だから「70年間も戦争のなかった国があるらしいぜ。その国じゃ帳簿(マイナン バー)を揃えたから徴兵も出来るようになったらしいぜ」という声が聞こえたような気がする。こんなセリフがあったような、なかったような、あっても可笑しくなかったような劇の展開だ。
 この『肝っ玉おっ母とその子どもたち』から見えてくるのは直接的な現在の世界そのものだろう。
 往年の名作を現代に蘇らせれば新たな世界が見えてくると言われるが、この舞台はその典型だろう。最近では映画『君の名は』とか『シン・ゴジラ』などからは、どんな世界が見えてくるのだろうか?