愛より速く

観劇日時/16.8.6 19:00~21:00
劇団名/どくんご

構成・演出/どいの  美術・衣装/五月うか
制作/黄色い複素平面社・時折旬・暗悪健太・空葉景朗・まほ

劇場名/旭川市 神楽岡公園 特設〝犬小屋〟テント劇場

出演/五月うか・2B・石田みや・ちゃあくん・iku・サドゥ瑞穂

愛、より速く

 ソロで歌うように語り、あるいは2・3人での渡りセリフのように、または6人全員の合唱風で、と様々な場面を喋り捲る。まさに喋り捲るのだが、その内容は必然的な展開が無く、まるで自分勝手に滅茶苦茶に喋っていたり、一人合点の不可解な自己主張だったりする。
 でも不思議な魅力に惹きこまれて聞き入っていると、彼ら彼女らの喋っていることには何か奇妙な結論があるような気がしてきて、意味不明なのに何故か賛成して応援したくなる。
 意味不明といっても、それは悪意だったり人道を外れた行為だったり、何らかの騙しの手法で、人々を自分たちの利益や目的の為に利用しようとする手段でもなく、この混沌とした行為に無意識ながら麻薬のように惹きこまれるわけでもない。
 それなら、もっと計画的に分かり易く巧くやるだろうが、ここには逆に暖かくそして熱い心を反映した行為だけがあるような気がする。
 特に6人で踊るダンスは、それぞれに強烈な個性が有りながら、全体としては切れ味が良くスピーディな踊りなので、揃ったときの力強い集団と個性とが両立している魅力には大きな感動を受ける。
 タイトルの『愛より速く』とは『愛より、速く』ではなく『愛、より速く』の意味だと思った。その方が、この舞台を良く現わしていると思った。

 今までの「どくんご」より、ずっとナンセンス味が強く、考えるのに時間がかかったが、その魅力は落ちるどころか別の新しい魅力の存在に惹きこまれたのだった。