宇宙のはしっこはんぶんこ

劇団名/パーソンズ
観劇日時/16.7.2 18:00~19:30
公演回数/第9回公演  【R:z】提携作品

脚本・演出/畠山由貴
照明/鳥海剛 音響/山口愛由美 舞台美術/高村由紀子
宣伝美術/八十嶋悠介 制作/竹内麻希子 主題歌/遠藤洋平

劇場名/シアターZOO

出演/チョコ=宮崎安津乃・ポチ=小倉佑介
ハカセ=戸田耕陽・ヨツバ=安田せひろ
ウサギ=阿部星来・アポロ=国門綾花
ミカズキ=能登屋南奈・アメ=松浦尚記
ハル=瑠璃・タナカ=石川哲也

降りやまない雨の街中……何かを求める人たち

 何もない舞台の中央に紫色の抽象模様で包まれた縦横3㍍ほどの少し斜めに傾いた台座だけがある。その支えを飾っているのが後で思い出すと何だか蓮の花が霜枯れたみたいでもあったような気がする。
 そして舞台一面から客席までも張り出すほどに天井から吊り下げられている沢山の半透明の紐には、星のように微かに光る球のようなものが付いている。これは宇宙を表しているのだろうか?
 この不安定な中央コーナーに2人1組の様々なカップル、必ずしも男女だけではなく女性同士の二人連れもあるし、バスの男性運転手と女性客などという組み合わせもある。つまり世の中の様々な人間関係の一つ一つのシンボルなのだろう。
 それらの淡い日常が次々と入れ替わり立ち代り描かれるのだが、最初はそれぞれの組み合わせと組み合わせの間には何の関係もない。そしてそれは常に降りやまぬ陰湿な雨の街の中での日々の静かでペシミックな日常の退屈な描写なのだ。
 雨の降り止まぬ日常の中で何かを求めて、でもきわめて消極的に願望するそれぞれのカップル……この町を抜け出るのが新しい生き方なのか? でもそれは死なのか? 死を求めているのか? 死を求める現世否定? 銀河鉄道の夜?
 訳の分からない抽象世界を示唆する「パーソンズ」の新しい表現に目を見開かせられショックを受けた。だが告白すると時間で経過三分の一ほどの所でちょっと居眠りをした。すぐハッと目覚めた後はこの舞台が何を訴求しているのか、この不思議な世界の縮図の意図を感じようとした。
 食い入るように舞台へ集中して行く魅力を強く感じた。これは最近珍しい形のインパクトであった。さっき昼に観た『もし月がなかったら』との共通性も感じられたが、特に雨の降りやまない街の中の出来事ということは同じシチュエーションである。