今度は愛妻家

観劇日時/16.5.21 14:00~15:50
劇団名/Words of hearts
公演回数/第10回公演

作/中谷まゆみ  演出/町田誠也
演出助手/河井秀晃  音響/松本崇  
音楽制作/町田拓哉  照明/山本雄飛
舞台/岩ヲ修一  制作/水戸もえみ・仲野圭亮  
衣装/下山里美 小道具/蝦名里美  
宣伝美術/佐藤未侑・りゅうのすけ
フライヤーデザイン/最上朋香  映像制作/野川大地

劇場名/ことにパトス

生と死との別れを考えさせる作者の思いを的確に表現

人気カメラマンの夫・北見俊介(=村上義典)の世話を甲斐甲斐しく焼き、明朗に振舞っていた妻のさくら(=寺元彩乃)は、夫から酷いことばを投げつけられて愛想を尽かし、一人で旅立ってしまった。
彼女をうるさく思っていたはずの俊介だったが、さくらが旅行に出た後は、仕事もせず、遊んでばかりで、カメラマンである彼と同衾する覚悟で写真を頼みに来た新米モデル・吉沢蘭子(=袖山このみ)を抱くことが出来なかった。そんな彼の前に、「離婚する前に写真を撮って」と、思いがけずさくらが帰ってくる。
俊介を尊敬して弟子入りをした古田誠一(=倖田直機)は仕事を止めた俊介の代わりにスーパーのチラシ作りをしたり、そんな古田を俊介は破門するなどと辛く当たっていた。実はさくらは、この旅行で事故死したのであり、その後のさくらは俊介の哀しい妄想だったのだ。
モデルで女優志願の蘭子は古田の撮った写真でコンテストに選抜されたり、俊介に岡惚れした老オカマの原文太(=松橋勝巳)が何度も訪ねて来たりするが、実は文太は、親子の縁を切ったはずのさくらの実父だったり、さくらの死後に数奇な運命が展開される。
様ざまな葛藤や互いの自己主張やわがままな関係の中で、最後にすべてを知って再出発するハッピイエンドの一種の現代風俗喜劇。

俊介は「あの時、さくらに代わりに自分が死んでいた方がさくらは幸せだった」と言うが、亡霊のさくらに「それじゃ自分が俊介と同じに苦しむ」と言われ、逆に自分はさくらを苦しめなかったのかと思わざるを得ないのだった