カコヨミ

観劇日時/16.5.7 18:00~19:10
劇団名/演劇集団 RE

作・演出/鷲頭環+演劇集団RE  スタッフ/小田雅人
劇場名/ことにパトス

出演/畠山真波・MARU・増子智也・高濱杏実・佐伯俊・
渡辺大介・佐々木唯・ 加藤良子・中村かんこ

亡き人と元気な人との過去の交流の想い出話

原作の北大路公子『枕元に靴』は、徹底的に無秩序で怠惰な女性の日常生活を描いたエッセイで僕も愛読した筈だけど、その中の『過去読み』は記憶にない。
この舞台の作・演出者は、12年6月に観て大きな感動を受けた「座・れら」の『不知火の燃ゆ』を書いた方であり、高校演劇部の全国大会で優秀賞を受賞した琴似工業高校の『北極星の見つけ方』を書いたのもこの鷲頭環さんで、北大路公子さんと鷲頭環さんとの相反するような作風がどう描かれるのか大いに関心と期待を持ったのだ。
生きていた時には元気だけども微妙に食い違っていた家族たちが、亡くなった人をあの世に尋ねて、生き残った人が再会で想い出すシーンが描かれる。それは暖かいのだが、ただそれだけでほとんど何の感動もなく、亡き人とその人を訪れた人との今更の交流は、それだけの話でチマチマとしていてサッと流れる。特にあの世とこの世との交流を司る占い師のようなオババは大袈裟で勿体ぶって逆に邪魔しているような存在でしかないような気がした。
期待が大きかっただけに心残りは余りにも大きく、僕の方に何か重大な考え違いがあるのか、ちょっと良く考え直さないといけないのかなあと思って本棚を探し、もう一度、読み直してみた。
『枕元に靴』の中の一篇としては、醉中の妄想であり不思議なリアリティがあるのだが、『過去読み』だけが独立すると、不自然で突拍子で存在感の弱い物になっているような気がした。