RUN RUN 乱痴気 RUNWAY

観劇日時/16・4・16 19:30~20:40
劇団名/演劇ユニット サクラナイフ

脚本/りゅうのすけ  演出/吉井亮介  照明/蓮城
音響・宣伝美術/りゅうのすけ  衣装・小道具/本吉夏姫

客室乗務員/蝦名里美・ヴィンセントブルックス・幅口のどか

劇場名/レッドベリースタジオ

目指す方向は面白いのに、全てのシーンにリアリティがなく全体が脆く崩れている

東南アジアの極小某国で差別されている少数民族の王家の少女姫・リンチー(=純玲)が、その国の中央政府に差別の撤廃を要求するために日本政府の協力を得ようと、たった一人の侍女・ウェイウェイ(=本吉夏姫)を伴って日本の地方空港に入国する。
事前に連絡を受けた日本政府は、一応はその願いを受け入れるという立場で、秘密警察の公安SP・柿崎(=三浦裕作)に身辺警護を指令する。そして某国中央政府の密命を受けたヒットマン・ホンフー(=廣井雅人)はリンチーの命を付け狙い日本SP柿崎との命のやり取りが、現場に居合わせた二人の航空機整備員(航太郎=東山健太・空夏=土野由樹恵)を巻き込んで描かれる。
これらのシーンが、整備室・休憩室・空港待合室・滑走路などと次々と展開して描かれるのだが、何しろ間口4㍍奥行き2㍍くらいの極小の空間で演じられるので、例えば映画などの映像画面だと面白いのかもしれないが、客席わずか30人ほどの小劇場では、もっと絞って人物の心情的な葛藤を中心に描いた方が良いと思う。
でないと全くリアリティがなく不自然なアクションが多くてギャグみたいに見える。例えばSPもヒットマンも三流の人物がたった一人で抗争したり、それがほとんど形だけだ。いくら被差別民族といえども若い王女がたった一人の侍女だけで来て、この侍女も無責任で大事な時にいつも居ない。日本政府の対応もその説明がなく、余りにも戯画化し過ぎている。イヤもしかして、わざとギャグの連続が本意なのか?
整備士男女の仕事とこの事件の重大さとのジレンマの苦悩は上手く描かれている。だからかラストのこの男女のロマンス完結の予感は頬笑ましいが、何か映画の予告編を観たような感じだ。
目指した方向はとても面白いのだが、一つ一つのシーンに全くリアリティがなく、全体が脆く崩れていて残念だった。狭い空間で演じるには、この台本ではやや無理があるようだった。