さんたま

観劇日時/15.12.19 17:00~18:20
上演団体名/札幌ハムプロジェクト
公演名称/ハムコレクション2015

脚本・演出/すがの公 照明/竹屋光浩
音響・イラスト/すがの公 宣伝美術/井嶋マキ子

劇場名/シアターZOO

出演者/
天野ジロ・フルサキエミ・渡辺ゆぱ・傍嶋史紀・セガワケイ・中江聡

一歩一歩踏みしめて歩く人生訓、だが異次元の世界?

父は「死ねばいい」と何時も言い・母は「死にたい」、そして姉は「殺す」というのが口癖の被害妄想家庭に育った中学3年の少年は、幼い頃から勉強一筋に努力して学年トップの成績を続けて強い自信を持っていた。
だから当然に地域で一番の高校に受験して合格・入学するのは自他ともに認めて当然だという認識があったのだが、一応面白半分に滑り止め高校である鬼尻高校という私立校を受験した。ところが何と誰でも入れるというか、むしろ落ちこぼれ救済の鬼尻私立高校に不合格となった。それから自分の能力に不信感を持った少年は幻想の世界に入り込んで行く
まず、三つのボールを投げると想いが叶うという不思議なボールを貰う。それを使って様々な不幸を乗り越え希望を見つけ出してゆく過程を描くのだが、人物が次々と目まぐるしく変化したり、極端なのは10㎝くらいの人形になったり激しくナンセンスで劇画風な表現になったり目眩みするほどで、物語は寓話や象徴性を飛び越え、ブッ飛び過ぎてちょっと着いて行けない感じが強すぎる。
ラストに、この三つのボールによって希望の高校へ受験する気持ちを持った少年の心境告白で終わるハッピーエンドを予感させると、出演者6人がハッピイな音楽をバンド演奏で楽しむのだが、それを観客に強要するのはどうなんだろう?
『サムライヌード』と同じように激しい身体行動による演技術は観ている方が疲れるくらいの一方的・強制的な演技表現に着いて行けない。
話の中では、氷の道を滑らないように一歩一歩踏みしめて歩くという動作を、一種の人生訓・処世訓として表現する側面もあるのだが、何か調和しないような感じが強いのだ。僕にとっては良く分からない異次元の世界であった。