空の村号

観劇日時/15.11.28 17:00~18:30
劇団名/座・れら
公演回数/第12回公演

作/篠原久美子 演出/戸塚直人
照明/鈴木静悟 音響効果/西野輝明
音楽・演奏/YUKI 衣装/木村和美
福島言葉監修/宍戸隆子
舞台監督/寺沢英幸 舞台監督助手/木村則夫
演出助手/ヤマキマヤ・寿♡太郎・佐藤みきと
道具協力/今井弘・楓佳
撮影/高橋克己
制作/佐藤紫穂 制作補助/青木通子・フクダトモコ
監修/鈴木喜三夫

劇場名/やまびこ座

無心の子供達の活躍が被災者たちの悲しみや苦しみを際立せる

3・11の東北大震災で直接の崩壊や津波の被害には遭わなかったが、日が経つにつれてジワリと襲う原発の放射能の被害から避難せざるを得なくなった一家の悲劇が描かれる。
小学5年生の楠木空クン(=信山E紘希)は単細胞の自称バカで、一学年下の妹・海チャン(=谷川夢乃)に万事を頼っていた。空クンの夢は金持ちになる事だけだったけど、何かをしなければ金を手にすることは出来ないと知ると、TVで映画監督が謙遜で「自分は何もしない。スタッフに依頼するだけが僕の仕事である」というのを聞き、俄然、映画監督に憧れる。それからはヒーローもののDVDを見まくり悪をやっつける映画を作る監督になることに強烈に憧れる。
そのころ被災地のドキュメンタリーを撮りに来たTVのプロデュサー兼任カメラマン・柴崎晶(=竹江維子)と知り合いになり、怖い物知らずの空クンはその監督と思い込んだプロデューサーと意気投合してくっついて歩きまわる。
だが遂に家族(=お父ちゃん/櫻井健作・お母ちゃん/白坂美琴・泰造/佐藤健司・おばあちゃん/松永ヒサ子)たちとも別れて東京へ疎開する日が来る。
空クンは、この村を放射能という悪のモンスターを退治する「村号」という宇宙船にガキ友(=翔太/MKT・剛/山木眞綾)たちと乗り組んで遠征するというストーリィの台本を書いて勇んで東京へ旅立つのだった。
無心の子供達が活躍するコミカルでスピーディな展開の中で、被災者たちの悲しみ苦しみが際立ってくるのだった。
          ☆
この舞台の表現法も偶然だろうが『食卓全景』と、とても似ている。舞台上は5㍍四方くらいの低い台が斜めに置かれているだけで背後には5脚の椅子があるのみ。一人、あるいは複数の演技者が場面の現状を説明するとそのシーンが始まり、終わると次のシーンの説明があってその場面が演じられ、それが次々と展開される。
『食卓全景』と違って、この舞台はずっとリアルな演技だ。『食卓全景』もそうだがこの舞台も様々な場面が次々と展開するから、普通の舞台装置では到底、追い付けないので、こういう形を取ったのかもしれない。だが二つとも全く違和感が無く観劇後にやっと気が付いた位であった。新しい表現法だろうか?