食卓全景

観劇日時/15.11.28 14:00~15:35
劇団名/intro

作・演出/イトウワカナ 映像/古跡哲平
音楽/佐々木隆介 音響/大江芳樹
照明/菅原渉吾 舞台監督・舞台美術/高橋詳幸
宣伝美術/本間いずみ
秘書/富樫佐知子 企画制作/intro
助成/芸術文化振興基金

劇場名/ターミナルプラザことにパトス

数奇な運命に翻弄された4人の人生

女高生同級の3人は対人恐怖症で、3人ともお昼はそれぞれトイレの個室で毎日貧しい昼食であった。3人とも母だけの二人家族である。そのうちにドア越しや仕切り壁越しに会話を交わすようになり、それぞれの名が春子(=石田聡子)、夏子(=小林由香)、秋子(=のしろゆう子)であることが分かる。それから3人は個室から出て初めてお互いの顔を知る。対人恐怖症の3人にとって、この3人の繋がりは何ものにも代えがたく、それによって3人は少しづつ社会に対する免疫が持てるようになり、それぞれ卒業して就職してもシエアハウスに一緒に住む。
やがて調子に乗った春子は、3人の名前から「フオーシーズン」という名でアイドルグループを作ることを提案する。夏子は反対するが渋々と立ち上げると近所の神社のお祭りとか商店街の催しなどで順調に売れ出し、春子はメジャーに進出する上昇志向を表す。だがその結果、3人の仲は微妙に交差する。
そのころ下田(=宮沢りえ蔵)という男が妹・冬子(=菜摘)と住んでいた。下田の友人・上野(=佐藤剛)は冬子と仲が良い。実はこの冬子を含めた女性4人は母違いの実の4姉妹だったのだ。
そういう数奇な運命に翻弄された4人の人生が描かれるのだが、それはかなり現実離れしているのに逆にそれが人生のある現実の象徴として普遍性が感じられるのが面白い。

特筆されるのは、その表現法の独自性だ。背景に湾曲して建てられた4枚の扉を表す象徴的な枠組み以外には何もない舞台に、4個の箱状の物をあちこちに置き、それを動かして使うだけの意外に何もない舞台で、誰かがナレーターとして物語の状況を説明するとそのシーンが始まり、次にまた誰かが説明すると次のシーンが始まるという風に展開・進展するのだ。そしてその演技はリアルではなくいわば一種のオーバーアクション風の誇張された表現なのだ。それが新しいのだろうか?