くそったれ アイラブユー

観劇日時/15.11.14 15:00~16:40
劇団名/劇団 パーソンズ
公演回数/第8回公演

脚本・演出/畠山由貴 照明/鳥海剛 
音響/山口愛由美 制作/竹内麻季子
主催/劇団パーソンズ 後援/札幌市
協力/さっぽろアートステージ2015実行委員会・札幌劇場連絡会

劇場名/ターミナルプラザ ことにパトス

極端に現実離れした設定が、逆に真実を象徴するか

舞台は、女性が性を売る店の、その女性たちの待機部屋には、No.1の女・花絵(=長麻美)、ひねくれ者・うっちゃん(=阿部星来)、皆の調和を図るミミコ(=宮崎安津乃)、静かな女・まる(=能登屋南奈)そして玉の輿を夢見る・ゆなぴょん(=国門綾花)の5人が居る。
マスター南原(=市場ひびき)は二代目で女性たちに良い仕事を与える事に意義を感じ、よくこの部屋へ来て細かな要望を聞き適切な指示をしている。上客の佐野(=小倉佑介)は何かにかこつけて関係者以外立ち入り禁止のこの部屋へ潜り込んでくるが、上客だけに余り冷たくも出来ない。
そんな特殊な部屋へ突然、ホスト嬢募集の広告に応募して、何を勘違いしたのか中年男・井戸田(=棚田満)が飛び込んでくる。経営がジリ貧のマスターは、逆に話題性を狙って採用し、女装して売り出すと俄然人気No.1となる。後で分かるのだが、実は井戸田は客の人生相談をしていたのだった。
彼は20年前に事業に失敗し家を捨て家族を捨てて失踪したのだが、うっちゃんが実は彼女がもの心の付かない幼い頃に彼が見捨てた我が子だったことを偶然に知る。取り返しの付かないことを自覚している井戸田はそのことを口に出せずに一人苦しむ。
一方、逆にうっちゃんも何となくそのことを知るが、彼女は絶対に父を許すことは出来ない。そんな展開の中で分かったことは、実は井戸田は末期ガンであること、20年前に捨てた家の借金もすべて払い終えていたことを知ったうっちゃんは、それでも父を許すことは出来なかった。
遂に井戸田は皆の中で壮絶に死ぬ。彼女は、それでも許せないのか、その狭間で苦しみ続けるのか、結論を出さぬまま幕は下りる。

大衆演劇のような、ちょっと作られたようなワザとらしい極端な展開の中で、一つの人生の真実が炙り出されたような舞台であった。