太陽と月

観劇日時/15.10.3 16:00~17:30
劇団名/赤丸急上昇

演出・振付/赤丸急上昇
照明デザイン/高橋正和 照明/大橋榛名 
音響/大江芳樹 舞台/米澤春花・加倉井功

劇場名/コンカリーニョ

出演/赤松美智代・丸山陽子・池内文・佐野和幸
映像/VJ/mavoxxx

日常を見直すようなコメディ・ダンス

激しいソロダンスが、目まぐるしく変わる照明の中で踊り狂うような中に本物のリンゴが舞台中にバラ撒かれる。
転換すると、頭だけ大きな被り物の姿で演じる老夫婦の、無言だがちょっと滑稽な、平凡だがほのぼのとした日常生活で、BGMは『横浜たそがれ』。
被り物を脱いだ二人を含めた四人が、争うように寝転がってリンゴを集めたり、齧りついたり、汁を滴らせて、これも激しい展開。
背景に、物質文明の矛盾や、うわべの知識だけを諷するような警句が次々と映し出される。それがだんだんと早くなり、最後には何を映しているのか分からなくなる。
『ふるさと』の静かなメロディのBGMで、床面が清掃され、綺麗になると、『愛燦々』のBGMで、もう一度あの老夫婦の日常寸景となる。
エネルギッシュで鋭い動きの中に、ゆったりとした余裕が混じり、全体にはコミカルな味が濃厚で、厚みが感じられる。
『太陽と月』というタイトルは陰陽のバランスとでもいうことであろうか? あくせくした物質本位の我々の日常生活を、ショック療法で見直してみようというような意図も感じられるが、なんともほのぼのとした、しかも若々しい魅力満載の素敵な舞台であった。