大きな島の木の下で

観劇日時/15.8.29  14:00~15:40
劇団名/fire works  共催/コンカリーニョ
公演回数/第10回

作・演出/米沢春花 音楽/山崎耕佑
照明/高橋正和 音響/大江芳樹

劇場名/コンカリーニョ

出演/後藤カツキ・柴野崇大・伊達昌俊・小山佳祐・
桐原直幸・今井智瑛・斉藤詩帆・
木村歩未・橋田恵利香・MC脂肪漢・国門綾花・
太田真介・和泉諒

合唱/小川しおり・丹野早紀・金澤双葉・
北村樹・細谷史奈・前田透

ダンサー/さち・大坪翔・大島里彩

楽隊/山崎耕佑・後藤尚音・キャス太・北山雅之

様々な寓話の入り乱れた展開

大洋の孤島に暮らす人たち。彼ら彼女らは何時ここへ来たのかどこから来たのか分からない。しかもいろんな時代の人々が暮らしている。だから当然、着ている衣類も色々な時代の物だ。
でも衣食住は十分だし何よりも不死の世界だ。全員それぞれの特技を生かして楽しく遊んでいる。一人だけ嬰児が来て、その子だけはなぜか時間に従って成長している。
ある時、一人の若い男が漂着した。特徴のない大人しい若者だが、なかなか島の生活に馴染まない。
成長している少女が偶然に神様と話をする機会があった。それによると、この島はその神様が金魚鉢で金魚を飼うように作った神様の愛玩物だったらしい。
一方、明治時代の二人の若者は、何とかしてこの島を脱出して現世に戻りたい。みんなはこの明治時代の若者たちを狂人扱いして交わらない。だがこの二人、松と竹はみんなを説得して成長期の少女を現世に戻し、自分たちもその方法を会得して現世に戻りたい。
目覚めた一同は少女の現世への戻りに協力する。だが失敗すると同時に二人の松と竹は、現世戻りに反抗したガッチャに銃殺される。
全員は、島と現世との中間の大洋の中に漂って多分永久に浮かばれないのだろうが安らかに漂う。
神様は愛玩物を失って、その責任を巡って夫婦喧嘩をしながらも愛欲の世界に落ち込んで行く。
舞台前面に本水を張った海岸を設定し、水浸しの熱演だ。全編を生演奏の音楽と舞踏で彩るが、島の中央に立つ大樹は一人のダンサーが立って表し、状況に応じて静かに象徴的に踊るのが印象的だった。
さて、この展開は何かをシンボライズしているのは当然なのだが、わかりづらいのが困る。何だろう? 何だろって思いながら焦って物語に溶け込められないのがエンターテインメントとしては最大のマイナスだろうと思った。
大作だが、意余って力足らずが正直な感想である。