帝国の白いカルト

観劇日時15.8.26. 14:00~16:40
主催/札幌市教育文化会館(札幌市芸術文化財団)・
教文演劇フェステバル実行委員会

脚本・演出・総監督/剣崎薫
監督補佐/平田雄介・制作監督/平野たかし
舞台監督/トマ・ティーフェドルフ
音楽監督/花田亮 映像監督/高田昌和
音響・照明監督/福本祥太郎 照明/小山のぞみ 
舞台美術/夢虫・ミク  振付/梅村和史 
メイク・ヘアセット・衣装/磯村侑実・小林あかね・chitoo
フライヤーデザイン/Sally

劇場名/教育文化会館小ホール
出演/原田充子・脇田唯・高山和也・高城麻衣子・
長流3ぺぇ・七星舞・斉藤秀規・堀内まゆみ・
飯澤志奈・ 須山美鈴・平田雄介・深浦佑太・
泊皓太・朱希・ 小野静香・盛合でぇすけ・小原アルト・
梅村和史・桐越邦夫・足達泰雅・Luu・以下多数

後半で破綻して残念

コンビニでバイトする26歳の冴えない女・詩織はいつも行く定食屋で料理人の修業を兼ねて働く若者の誘いで、ある新興宗教の集まりに連れて行かれた。
彼は宗教には関心はなく、この宗教の応援団長であるマイナーなアイドルの熱烈なフアンだったのだ。何も知らずに付いて行った詩織は、初めは異様な雰囲気に拒否反応を示したが、終演後に振舞われたカレーのご馳走につい引き込まれた。
話してみると、みんな強制的ではなく、人が良く、それも勧誘のための手段でもないようだ。詩織はこの教団に入る気はないが何となく関心を持つ。一方、彼は教祖の後押しでこのアイドルに急接近しアイドルも受け入れる。
実はこの教団の事務長は電気屋の社長で脱税の手段として宗教団体を利用しようとし、詐欺で大儲けをした女が、これも脱税のために片棒担いで財務担当者となり、宗教団体を作りたかった男を教祖として祭り上げたエセ宗教団体だったのだ。
だが、このアイドルを初め、信者たちは家庭的に恵まれない人たちが多く、教団自体が脱税目的なので信者から金を集めないから教祖の適当な教えが逆に信者の心を温めていたようなものだった。
詩織も深入りはしないが何となく関係を持ち、アイドルのたった一人の姉でマネジャーをやっている女性と同じような家庭境遇から親密になる。
教団の総会が教育文化会館で開催されることになり、すっかり準備が整い、アイドルも本舞台で成果を披露できることに大きな期待を持った。  
ところが直前に会館から宗教行事には貸せないと連絡が入った。調べると、地元の政治家が会合をするためという理由で邪魔を入れたことが分かる。
絶望した教祖は、教団を解散すると宣言して失踪する。残った人たちは路頭に迷う。そのとき詩織はなぜか急にアイドルの公演に切り替えてアイドルの新しい世界を創ろうと会館に掛け合う。詩織は新しい世界に自分の新しい人生を発見したのだ。
政治家の会合は午後だから、準備をうまくやれば夜の公演は可能だ。自分のやりたいことを見いだして大活躍の詩織はみんなに信頼され喜ばれる。ここでもしかしたら詩織は新しい教祖になるのかなという期待がもたれる。
だが政治家の会合は夜まで延ばされる。万策尽きた詩織とアイドルの姉は崩折れる。詩織は元・カレがアイドルと一緒になるために料理人を諦めた記念にもらった包丁セットを取り落とした。ちょうどそこへ、会合を終えた地元の政治家が来た。姉はとっさに、その包丁でその政治家に体当たりし政治家は死ぬ。
これだけならなかなか良く出来た物語だったが、この政治家の話の前提が、長々と映像ドラマで再三にわたり上映される。この基本の展開とは必ずしも効果的に繋がっているとは思えない。むりやり挿入して長引かせた感が強い。
政治家に邪魔されて苦悩するが、詩織たちはどうするかを予感させて終わった方がすっきりする。

余分なものが入ったために上演時間が延びきったようでどこまで続くんだろうと正直飽きた、客席の周辺でも長いなあという嘆息が聞かれた。しかもこの政治家の会合場面では会場の客席を無理にこの政治家の集会に集まった人たちに見立てて、参加を強制するので退屈する。