青森県のせむし男

観劇日時/15.8.2. 18:00~19:20
劇団名/実験演劇集団 風蝕異人街

作/寺山修司 潤色・演出/こしばきこう
照明/こしばきこう・成田真澄 装置/こしばきこう
音響オペレーター/佐藤慎哉
舞台監督/本多竜二 写真撮影/高橋克己 ビデオ撮影/園部一也
スペシャルサンクス/高岡啓次郎
協力/青山桃子・関沢香奈・竹崎孝之介・安川友弥子・山口祐佳
制作/実験演劇集団「風蝕異人街」

出演/大正マツ(老いたる花嫁)=堀紀代美
女学生=(交代出演)柴田知佳・小池瑠莉・国門綾花
大正松吉(母恋のせむし男)・少年=三木美智代
瞽女(旅芸人一座)=小山由美子
七草の女(旅芸人一座)・噂女A=栗原聡美
道化の白い花(噂男)=平野たかし
道化の赤い花(噂男)=斉藤秀規
家令(下男)=倖田直機
ヴィーナス(美少女1)=汝
ヴィーナス(美少女2)=国門綾花・九十九銀礼
噂女1=小山由美子
噂女2=小池瑠莉・柴田知佳
噂女3=岡田有香
噂女4=小林利律子
噂女5=西條よし江
セーラー服少女隊・アリス=九十九銀礼
セーラー服少女隊・テレス=福田泰子
セーラー服少女隊・つぐみ=祓川さをり
下男の斧助(ポンプ押し男)=町田良介
音楽演奏 ジャンベ=石橋俊一 薩摩琵琶=黒田拓 二胡=凜子

劇場名/シアターZOO

薄味になった運命の親子の愛憎劇

マツと松吉、そして恋人の女学生の他に、旅芸人の女が2人、道化の男2人、下男2人、美少女2人、女5人、セーラー服の少女3人の合計19人という多数の登場人物、場面によって舞台中を動かして回る赤塗の格子戸が5・6台? 天井から吊り下げられた何枚もの和服、そしてジャンベ・薩摩琵琶・二胡の演奏家が3人、舞台狭しとばかりに派手で賑やかになったために、逆に肝心のマツと松吉の運命の愛憎の濃さが薄められたようだった。
初演ではオドロオドロしく切ない悲哀が色濃く滲み出ていて、とても切なく感動したのだが、今回は周囲のお膳立てに惑わされて二人の関係が淡泊に感じられてしまいちょっと消化不良気味で残念な感じが残る。
だが、この仕込みの派手な賑やかさが現代の若い観客には受け入れられ易いのかも知れない。劇場が大きくなったから枠を広げたのだとしたら、主題を深く掘り下げるためには別の仕掛けが必要だったのではないのかと思われたのだ。