空の村号

観劇日時/15.8.1. 15:30~17:00
劇団名/座・れら
公演形態/リーデング試演

作/篠原久美子 演出/戸塚直人
出演/信山E紘希 谷川夢乃 櫻井健作 
加古美香子 佐藤健司 松永ヒサ子  竹江維子

場所/喫茶 陽だまり (地下鉄南北線・南平岸駅西口1分)

静かな告発

11月に本公演として上演するので、今回は予告のように全編をリーデングとして上演した。
東北のある小村に暮らす酪農家の少年「空」クン。平凡だが元気な「空」クンは、悪を挫くヒーローの闘いを描きたいという理由だけで、何も分からずただ映画監督に憧れていた。だが3.11に直面した瞬間から、彼の身の回りは劇的に変容して行く。
現地のドキュメンタリー記録映画の撮影に来たTVディレクターのアキラさんに接触した「空」クンは、ドキュメンタリーの意味は分からずながら撮影に強い関心を持ってアキラさんに連日密着して付いて回る。アキラさんも「空」クンの存在に興味を持つ。だが故郷は放射能の危険が迫り、牛の処理の為に父母は残るが、「空」クンと妹は東京へ疎開せざるを得ない。両親や友人たちともバラバラになって「空」クンは新しい世界へと、極悪人である放射能を退治するヒーローを求めて旅立つ。
直接的に弾劾せずに被害実態の哀しみを、何も知らない少年の眼を通して描くことによって衝撃の怖さと不条理とを心底からの強い心情として湧き上がるように訴える。
これは以前に「座・れら」が上演した『不知火の燃ゆ』と同じような表現法で、この方が訴える力はずっと強い。本公演を期待したいが、気になる部分も散見する。

※舞台転換が激しく多いこと。※登場人物が多く、今日は「空」クン以外は一人何役も演じていたが……※モノローグの説明が多いこと、などなどあるが、これをどう舞台化、視覚化するのか本公演を期待しよう。