にっちさっち

観劇日時/15.7.26. 18:00~19:05
劇団名/ゆりいか演劇塾
公演回数/第1期 夏公演

演出・脚本/小佐部明広
演出助手/牧野あすか・若月篤・鈴木仁茂・中村雷太
舞台監督/増田駿亮 
音響/牧野あすか・増田駿亮 照明/山本雄飛
衣装/廣部直子・笠井成美・金岡大樹・高橋海妃・橋場美咲
小道具/後藤夏実・柴野崇大・増田駿亮
受付/廣部直子・遠山くるみ・長枝航輝・
笠井成美・鈴木仁茂・柴野嵩大・金岡大樹
場内整理/高橋海妃・橋場美咲・若月篤・中村雷太

劇場名/シアターZOO

出演者は赤組と青組の2班があり観たのは青組

業を肯定する面白さ

立川談志が「落語は業の肯定である」と規定した。すべての人間は弱いところ悪いところを持っているが、それは業であって誰にでもある。実際の被害の大きさにもよるが、笑って許そうというのが落語であるということだ。
この舞台もそういう人間の自分勝手で早とちりばかりしている人間の弱さをさらけ出して大いに笑ってやろうという話だ。全員が自分勝手で早とちりで、傍から見てるとどうしようもない。でも「多かれ少なかれ自分にもあるじゃないのか。笑って観てやろうよ」ということだ。
浮気している夫(=柴野嵩大)、夫が居るのにこの男と不倫している女(=橋場美咲)、妻(=牧野あすか)との三角関係、妻の友人(=後藤夏実)は兄(=中村雷太)の助けを借りて一芝居を打って解決しようとする。そこへ偶然に窃盗犯人(=金岡大樹)が入り込んできて滅茶苦茶になる。
ラストは全てを失った夫が、この一芝居のプランを創った妻の友人に仄かな愛を感じて、その妻の友人に本当のことを言うと言って期待を持たせながら、最後に言った言葉は「女としての魅力を感じない」だった。
リアリティのない設定、わざとらしい遣り取り、オーバーアクションの演技だけどそれが逆にこの設定と物語とをマンガっぽくてしていて面白いのだ。夫の変わり身の早さと演技の極端な変化がそれを象徴していて会場は爆笑・哄笑だ。若さがうまく出ている。小佐部明広のコメディ作者としての才能が良く発揮された好編である。