Oi

観劇日時/15.7.26. 14:00~15:50
劇団名/劇団イナダ組 

作・演出/イナダ 照明/相馬寛之 
音響/奥山奈々 舞台制作/FUKUDA舞台
衣装/村山里美 宣伝美術/山田マサル
宣伝写真/奥山奈々 WEB/奥島康
制作/小柳由美子・村山里美 舞台部/小倉佑介・天沼開

劇場名/札幌 琴似 コンカリーニョ

渋くて軽い人生論

初老のホームレス・Oiちゃん(=武田晋)のダンボール小屋へ仲間の仁丹(=葉山太司)がホームレス志願の若い男・アキラ(=戸澤亮)を連れてくる。アキラは幼い頃、父親が詐欺の被害に遭って全財産を失い莫大な借金を残して蒸発した。
人伝てに聞いた噂で、そのOiちゃんが、あまり知られない片田舎の出身地であることから推察してアキラは実父でないかと思い込む。だが世を捨てたOiは取り合わない。Oiはダッチワイフのアサコと暮らしているが清い関係だと言う。
Oiは実は詐欺事件の主犯で、詐欺の被害のために亡くなった若い女性への謝罪の気持ちでアサコを大切にしていたのだ。Oiも結果的には自滅してホームレスになってしまったのだ。
アキラは軽薄な女・日吉玲奈(=瑠璃)のヒモになっていたが、玲奈は多情多恨で相手はその時次第で誰でも良かったのだ。アキラはアサコに強い関心を持ち、すると実際の人間・アサコ(=阿部星来)になって見えたり話したり出来るのだ。
アサコに関心の移ったアキラは邪魔な玲奈を絞殺する。Oiとアサコは元へ戻り、アキラは別の小さなダンボール小屋で殺した玲奈と同じ人形と一緒に暮らしてOiたちと相似形の毎日が始まる予感がラストシーンとなる。
シモネタやギャグの応酬で騒々しい賑やかな舞台だが、ホームレスに象徴される自由な生き方と、人間の悪意と善意との両立存在の意義を訴える一篇であった。
酔っ払いのおばちゃん(=山村素絵)と邪魔くさい生活相談員・八島(=吉田諒希)が出演して舞台を掻き回す。旧作『コバルト兄さん』との関係は、どうなのだろうか?